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みえびとの肖像

第15回 中村喜代治(78) はなさかじいさん

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◆桜の里づくり 半世紀

大型で色の濃い花びらが幾重にも重なる様子は「一重八重咲き」と表現される=伊勢市横輪町で

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 むかしむかし、桜がたいそう好きな人がおった。きれいな桃色の花に夢中になって、半世紀かけて町中に桜を植え続けた。春になると町は桃色に染まり、その人はいつしか「はなさかじいさん」と呼ばれるようになったそうな−。

 伊勢市横輪(よこわ)町に自生する横輪桜は、色が濃い大型の花びらをつける。三十歳のとき、苗を売ってお金にしようと、軽い気持ちで始めた桜の植樹。しかし、翌年春、花を咲かせた桜を見て考えを変えた。「あまりにきれいで売れなかった」

 それから、シカやイノシシに食べられやすい苗を一本一本手入れした。「わが子以上に面倒を見た」。花が咲くほんのわずかな期間のために費やした時間は計り知れない。

 今では町内に二千本以上の桜が花を咲かせ、「桜の里」をテーマに地域おこしに取り組む。はなさかじいさんが育てた山あいの農村の桜は、今年も見ごろを迎えている。

一斉に開花した横輪桜が山あいの農村を彩る=伊勢市横輪町で

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写真・文 大橋脩人

 <なかむら・きよはる> 伊勢市横輪町在住。同所で生まれ育ち中学を卒業後、農家に。30歳から62歳まで同市の工場に勤務。信条は「遊び半分」。

 

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