トップ > 特集・連載 > みえびとの肖像 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

みえびとの肖像

第18回 百木智恵子(73) 塩を作る女将

写真

◆母の愛 結晶にキラリ

旅館に併設する製塩所。3段の登り窯で海水を煮詰める=伊勢市二見町茶屋の岩戸館で

写真

 製塩場に立ちこめる熱気と蒸気。海水をじっくり煮詰めていくと、キラキラと輝く塩が生まれる。神々が住む地とされる伊勢。自然の恵みである塩にも、特別な力が宿ると信じている。

 旅館の女将(おかみ)の仕事を順調に切り盛りしていた二十年前、長男が体調を崩した。「塩を変えると良い」と聞き、近所の御塩殿神社で伊勢神宮に奉納する塩を作っていることに縁を感じ、自宅の台所で製塩を始めた。

 「海水から作る塩はミネラルがたくさん含まれる。いらないものを出し、必要な栄養の吸収を助けてくれる」。塩を変えた後、徐々に長男の体調は回復していった。それ以来、塩に隠れた力があると信じ、「神々の贈り物」と呼ぶ。

 たくさんの人に健康になってほしいと思い、二年後、旅館に登り窯を作り、本格的な製塩を始めた。旅館で提供する料理にも使っている。母なる海が育てた結晶の一粒一粒に、母の思いがこもっている。

伊勢の海水から作られた「岩戸の塩」。粒はふぞろいだが奥深い

写真

写真・文 大橋脩人

 <ももき・ちえこ> 伊勢市二見町在住。大阪市内で生まれ、1歳で松阪市に疎開。27歳で結婚し、伊勢市二見町茶屋の旅館「岩戸館」の若女将に。55歳から焼塩「岩戸の塩」の製塩を始める。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索