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みえびとの肖像

第23回 梶浦明日香(35) 伊勢根付職人・元NHKキャスター

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◆年輪重ね 芸極め継ぐ

工具や資料などが並ぶ作業場で師匠の中川さん(左)と並んで木を削る=伊勢市上地町で

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 NHKのキャスター時代、「初めて日の目を見た」と言って、取材相手だった高齢の伝統工芸職人が涙する場面に遭遇した。自分が死ねば、この技術も世の中から消えてしまう−という切なさを感じ取った。職人の世界を意識した瞬間だった。

 夢だったアナウンサーになり仕事に打ち込んだが、異動や不規則な勤務は心身の負担となった。「女性アナウンサーは年を重ねるごとに価値は落ちていくけど、職人は逆」。五年で区切りを付け、取材で出会った伊勢根付職人の門をたたいた。

 伊勢根付は着物の装飾品で江戸時代はお伊勢参りのお土産として人気だった。木彫りの彫刻に目を凝らすと、緻密に描かれた絵や模様が浮かぶ。

 今は人前に出ず、黙々と作業に打ち込む毎日。「仕事は前職とは真逆ですが、伝えるという使命は同じ。職人を極め、伝統を後世につなげたい」

(左)細部にまで工夫が凝らされた伊勢根付。作品には言葉遊びも込められる(右)着物の帯に印籠などを下げるときの留め具として使われる

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写真・文 大橋脩人

 <かじうら・あすか> 四日市市在住。岐阜県中津川市で生まれ、大学を卒業後、NHK津、名古屋放送局のキャスターなどを経て、28歳で伊勢根付職人、中川忠峰さんに弟子入り。

 

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