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斎場の残骨灰を収入化 売却自治体が増加 本紙調査

◆扱い定めた法律なし

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 遺族が拾骨した後に斎場に残る「残骨灰(ざんこつばい)」を業者に売却するなどし、収入に充てる自治体が増えていることが、全国の政令指定都市と県庁所在地など計八十一自治体および一部事務組合へのアンケートで分かった。残骨灰には歯の治療で使った合金や指輪などの有価物が含まれており、業者に処理を委託している自治体の半数以上で、一円やゼロ円での契約が相次いでいる実態も浮かんだ。

 残骨灰の取り扱いには法律や国の監督官庁がなく、一般廃棄物にも産業廃棄物にも区分されていない。年間百三十万人が死亡する多死社会を迎えた一方で、処理に統一基準がないため、アンケートでは複数の自治体が国への要望として「法や制度の整備」を挙げた。

 残骨灰や有価物の売却益を収入にしていると答えたのは、東京都、名古屋市、福岡市など全体の二割に当たる十八自治体。うち、横浜市や仙台市、神戸市など七自治体が、過去五年間で委託処理から売却方式に切り替えた。売却による単年度の収益は、未定などとした浜松市、仙台市を除く十六自治体の合計で計約二億四千七百万円に上った。

 売却はせず、残骨灰の処理のみを指名競争入札や随意契約で業者に委託していると答えたのは四十三自治体。うち、岐阜市や富山市など二十四自治体で契約金額が一円やゼロ円だった。金の価格高騰などを背景に業者が超低価格で処理を請け負い、残骨灰からの有価物を売却して自社の利益にしているとみられる。

 売却も委託処理もせず、市有地に埋めていると答えたのは金沢市、京都市など八自治体。指定管理者に任せているため詳細を把握していないとしたのは川崎市など十二自治体だった。

 業者に処理を委託している自治体を含め、残骨灰の将来的な売却を検討するとした自治体は、神奈川県横須賀市や大阪市など十四自治体あった。大阪市は検討理由を「市民感情を考慮して斎場敷地内に埋蔵していたが、残容量が少なくなったため」とした。

 アンケートでは「処理に関する業者の許認可や処理単価の設定など、国からのより明確な技術的助言が求められる」(群馬県高崎市)、「法、制度等の整備を望む」(横須賀市)など、国への要望が寄せられた。

 これに対し、厚生労働省生活衛生課の塚野智久生活衛生調整企画官は「残骨灰の取り扱いは(墓地の管理や埋葬について定めた)墓地埋葬法の枠外にある。一円入札などの実態は承知しているが、国が指導する立場にはない」としている。

 アンケートは、十一月十七〜三十日、公営斎場を持つ政令指定都市、県庁所在地、中核市の七十九市と東京都、都の臨海部広域斎場組合を対象に実施。残骨灰の処理方法や有価物の取り扱いなどを尋ね、回答率は100%だった。

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