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プログラミング教育の準備加速 20年度に小学校で必修化

プログラミングの基礎を学ぶソフト「スクラッチ」を体験する教員たち=愛知県みよし市の黒笹小で

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 次期学習指導要領で二〇二〇年度から必修化される小学校のプログラミング教育。今年六月に文部科学省が発表した全国調査結果によると、昨年度の時点で授業に取り入れている自治体は二割程度と一部にとどまった。そうした中、本年度からプログラミングの体験を児童にさせたり、教員向けの研修をしたり、各地で動きが活発になっている。

◆学ぶのは「思考法」

 愛知県高浜市は八月上旬、市内の教員向けにプログラミング教育の研修会を開いた。テーマは、各教科にプログラミング教育をどう取り込むか。小学校の教員ら約三十人が、プログラミング教育に詳しい愛知教育大の磯部征尊准教授の講義に耳を傾けた。

 磯部准教授は「プログラミング教育で大事なのは、情報を整理し、最適解を導き出すプログラミング的思考を養うことです」と解説。受講した教員の一人は「プログラミングは『プログラムの文字を打ち込む』というイメージだったが、そうでないことが分かった」と話した。

 同市は、磯部准教授らの協力で、市内の小学校五校のうち二校で児童が十一月から無料ソフト「スクラッチ」でプログラミングを体験する予定。総合的な学習の時間を四時間使う。その様子を市内の教員に見てもらい、総合的な学習でのプログラミング教育を他校に広げる。並行して、各教科でもプログラミング教育を取り入れてもらいたいと開いたのが、冒頭の研修だ。

 文科省は、各教科の学習とも関連させプログラミング教育をすることを求めている。例として、プログラミングソフトを使って正多角形を描く算数の授業や、通電を制御するソフトでプログラミングを体験し、プログラムの役割も学ぶ理科の授業などを挙げる。同省は三月、指導例などを示す手引を出した。「方向性が見えてきて、本年度から本格的に動き始めたところ」と、市教育委員会の担当者は話す。

 同県みよし市の黒笹小学校は八月下旬に、プログラミング教育に関する校内研修を開いた。教員たちは「スクラッチ」でプログラミングを体験。指示が書かれたブロックを並べ替えて、キャラクターを動かした。さらに、豆電球を組み込んだ学習キットも使い、スクラッチのようにブロックを並べて電球の明るさを変えたり、点滅させたりした。

 同市では本年度、プログラミングの研修の費用を他の研修とは別枠で準備。今年から一部の学年で、「スクラッチ」の体験などのプログラミング教育を始めた黒笹小は、別枠の仕組みを使い、研修を組んだ。「経験していないことを教えるのは大変」と、同小の吉野嘉郎校長は研修の必要性を強調する。

◆授業実施は16%

 文科省は、二月一日時点でのプログラミング教育の準備状況を全国の教委に調査し、結果を公表。それによると、「情報収集をしている。特に取り組んでいない」割合は57%、「全部か一部の学校でプログラミング教育の授業を実施している」は16%だった。ただ、「来年の調査では数字は随分変わるのでは」との声も教委担当者からは聞かれる。プログラミング教育を盛り込んだ次期学習指導要領が公表されたのは一七年三月。詳細が分かったのはさらにその後で、多くの自治体では調査時点より後の本年度に対応を先送りせざるを得なかった。

 一方、「道徳、英語の教科化や働き方改革など、やることが多い」として、プログラミング教育の準備に手が回らない学校もある。

◆取り組み、地域差大きく

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 プログラミング教育の準備状況について文科省が行った調査では、地域差も明らかになった。

 全国で57%だった「特に取り組んでいない」を地域別で見ると、北海道が82%と最も高く、関東が34%と最も低かった。中部は59%、近畿48%。一方、「全部か一部の学校でプログラミング教育の授業を実施している」は、関東26%、近畿23%、中国18%と続く。中部は16%で全国平均と同じだった。

 調査は2月1日時点の状況について、2、3月、全国の都道府県、市区町村の教委に実施。分析対象は市区町村教委で1733団体のうち722団体が回答した。

 (佐橋大)

 

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