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教育

ノウハウ指導、学芸会まで 名古屋市の夏休み教員研修

劇団員から声の出し方などの指導を受ける教員=名古屋市中村区の笹島小・中で

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 夏休み期間中、教員の指導力向上のため各地で研修会が開かれた。名古屋市の研修をのぞくと、主要教科に限らず学芸会に至るまで、新学期からすぐ活用できるアイデアが随所にちりばめられていた。教員の年齢構成が偏り、若手の育成に悩む学校の要請に応えた形。国も研修計画の見直しに本腰を入れ始めた。

◆プロを講師に

 「やあみなさん はじめまして」。ラップ調のリズムに乗って、女性教員が台本のせりふを読み上げた。二十人ほどの教員が順番に一人ずつせりふを声に出し、劇がテンポ良く進んでいく。名古屋市内で七月末から八月にかけ、小、中学校の教員を対象に開かれた教員研修の一こま。ユニークなのが、この「学芸会」の講座だ。二〇〇一年度から始まった研修の一メニューとして五年前に加わった。

 講師は名古屋市の「劇団うりんこ」の劇団員。子どもが好きなごっこ遊びの延長のように役になりきるため、緊張をほぐす簡単なゲームから伝授。その上で、子どもたちが意欲的に演じるための指導法が具体的に伝えられた。五年目の男性教員は「客席まで聞こえる声の出し方、役のイメージの伝え方など分からないことばかり。研修で学んだことを秋の学芸会に生かしたい」と満足げだった。

 一連の研修を主催した名古屋市教育センター研修部の山村伸人部長は「子どもたちへの声のかけ方や大道具の準備の仕方などはこれまで、各校で受け継いできた。最近はそのノウハウを自然に伝えるのが難しい」と学芸会の研修を実施する理由を説明する。研修のほかのメニューを見ても、主要教科から低学年向けの「生活」や学級づくりのヒントを伝える「学活」まで、至れり尽くせり。最近の教育課題に応じた、道徳や特別支援教育のほか、今年は小学校の外国語活動の講座も新たに加わった。

◆参加型の英語

グループを作り英語の「他者紹介ゲーム」を楽しむ教員=名古屋市中村区の笹島小・中で

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 外国語活動は講義形式ではなく参加型。教員はグループを作り、まず自分が得意なスポーツについて自己紹介をした後、その隣の人は自分だけでなく、前の人が得意なスポーツについても紹介する他者紹介ゲームを実際に体験した。担任一人でも授業が進められるよう、英語でコミュニケーションを楽しむためのゲームの引き出しを増やしてもらうのがねらいだ。

◆世代断絶、継承難しく

 道徳の教科化に伴い、今年五月に名古屋市内で開かれた愛知県の道徳教育推進会議でも、若手育成が話題に。参加した小学校長からは「担任の七割が教職経験十年未満」「指導経験が浅い若手の授業力向上が課題」と不安視する声が上がった。背景に、二〇〇七年の団塊世代の大量退職と、それに伴う若手の大量採用による学校現場の年齢構成の偏りがある。ベテラン世代と若手世代をつなぐはずの中堅層が薄く、両世代が断絶。少し年上の先輩から若手の後輩へ、技能や知識を自然に引き継ぐことが年々、難しくなっている。

 危機感を抱いた国は教員の資質や能力向上に向け、「教育公務員特例法」の一部を一六年十一月に改正。昨年四月の施行を受けて各都道府県の教育委員会が、教員を養成する大学教員や学校関係者、PTAなどによる協議会をつくり、経験年数や適性に応じた教員育成の「指標」を定めた。例えば中堅なら「専門性を高める」、ベテランなら「より広い視野で役割を果たす」−といった具合。キャリアを積んでいく上で、目指すべき道しるべを示した。

 従来、教員向けの研修は、五年目、十年目など年数の節目ごとに実施されてきた。今後は働き始めて数年、中堅、ベテランなどと細かなステージごとに、求められる教師像や能力を明確にした上で研修の内容や計画も見直される。

 各都道府県の育成指標を分析した愛知教育大の西淵茂男理事・副学長は「どこの指標にも学校全体で子どもを育てようという姿勢が打ち出されていた。教員は学校での自分の役割や、どう力を付けていけばいいかを意識するようになるだろう。研修には教員の学ぶ意欲を喚起できる制度設計が必要だ」と指摘する。

 (福沢英里)

 

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