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教育

<NIE> NIE全国大会盛岡大会・公開授業リポート

 授業での効果的な新聞活用法を探る第23回NIE全国大会盛岡大会が7月26日から2日間、盛岡市と沿岸地域の大槌町の3会場で開かれた。小中高の授業や実践発表など多彩な報告があり、全国から集まった参加者約1600人の注目を集めた。公開授業の一部を紹介する。

◆伝える工夫 読み取る

全国紙の記事を読み比べ、見出しや本文の工夫などについて発表する盛岡市仙北中の生徒たち=盛岡市のいわて県民情報交流センター・アイーナで

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 盛岡市仙北中学校二年生は国語で、二〇一六年夏のリオデジャネイロ五輪の記事を読み比べ、見出しや本文が担う役割などについて理解を深めた。教材となったのは、陸上男子四百メートルリレー決勝の様子を伝える三つの全国紙。リードや本文、写真など、それぞれのパーツに込められた工夫を「説明のワザ」と呼び、グループごとに発表した。

 例えばリードには、事実や5W1H、出来事の結果がある。今回の記事なら、日本の銀メダル獲得という「結果」が盛り込まれている、という具合だ。一方、本文を分析すると、銀メダル獲得の理由や事前の取材に基づく記者の考えなどが書かれているものの、各紙で文章の構成や展開には違いがあった。

 必要最低限の言葉で読者をぐっと引き付ける見出し。「ボルトに迫った」という見出しについて説明したグループは「金メダルまであと少しだったことが伝わり、日本の躍進ぶりが分かる」。記者の伝えたいことが最もよく伝わる場面の写真が選ばれていることを指摘したグループもあった。

 佐藤葉乃さんはわかりやすさから「400リレー『銀』」の見出しが躍る記事を選んだ。いざ本文を細かく読み解くと、単に結果を伝えるだけでなく、日本短距離界の歴史や指導法の変遷、四年後の東京五輪への展望も書かれていることが分かった。「たくさんの工夫やワザがあることに気づき、もっと新聞を読んでみたくなった」と話した。

 担任の長根いずみ先生が記事を比較させたのは、記者の見方や焦点の当て方によって、まったく違う内容になることを生徒に理解してほしかったから。「文章の組み立て方の工夫や広がりを学び取ってほしい」と話し、今後の学習新聞作りにつなげていく考えだ。

◆震災報道 理解助ける

記事を参考にしながらワカメ養殖の復興に向かう主人公の思いを話し合う盛岡市松園小の児童たち=盛岡市のいわて県民情報交流センター・アイーナで

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 道徳の公開授業に臨んだ盛岡市松園小学校五年生。担任の中嶋一良先生は、岩手県の道徳教育郷土教材集を読み上げた。七年前の東日本大震災で、壊滅的な被害を受けた同県田野畑村のワカメ養殖業が復興を果たす内容だ。

 この日のテーマは「NIEで培った力を授業に生かそう」。四年時から子どもたちは興味のある記事を選んでノートに貼り、友達のノートも見合って互いの良さを共有。地元紙の岩手日報の投書欄にも投稿し、三十七人全員の投書が掲載されるなど、読む、書く力を育ててきた。さらに、同紙が伝えた震災の記事を読み、ノートにスクラップして準備してきた。

 教材の主人公はどんな思いで、がれきの撤去やワカメの養殖再開へ準備をしたのか、班ごとに意見を出し合った子どもたち。中嶋先生は主人公にも心が揺れ、諦めそうになった時期があることを踏まえ、人の弱い部分にも思いを巡らせるよう声をかけた。「借金までして続ける必要ない」「寒い時期だから心が折れそう」…。リアルな現実を報じる新聞記事を事前に読んでいた子どもたちだからこそ、主人公の心情に迫る意見が次々、飛び出した。

 努力してワカメ養殖を再開した主人公と、今の自分とを比べて感じたことを発表し合い、授業も終盤へ。中嶋先生は日ごろから、自分の弱みやダメな部分も子どもたちに見せて、意見を出しやすい雰囲気づくりを心がけているという。「三年生までは不登校ぎみで、今も行きたくないって思う日もあるけど、強い気持ちで登校したい」と胸を張った男子がいれば、「将来は整備士になりたい。算数が苦手でくじけそうになるけど頑張るぞ」と素直な気持ちを打ち明けた男子も。

 「教師が用意した資料だけでは、一方的な見方で終わってしまう。教材の登場人物の思いに迫るためにも、さまざまな意見を載せた新聞記事をうまく組み合わせたい」と中嶋先生は意欲を見せた。

 (福沢英里)

 

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