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教育

五輪から20年、長野市の国際学習 継続で深み「東京」も視野

カナダの国歌をリコーダーで演奏するカナダ訪問の代表児童=長野市の若槻小で

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 五輪や万博、ワールドカップなど、国際的なイベントが近づくと、学校で「国際理解教育」の取り組みが増える。ただ、一時的な活動にとどまりがちで、継続して内容を深めるのは難しい。東京五輪を2年後に控え、長野冬季五輪から20年を迎えた長野市の実践に、実りある活動へのヒントを探った。

 長野市の若槻小で五月三十一日に開かれた、カナダを訪問する代表児童の壮行会。今月二日から一週間、最大都市トロントに滞在する五、六年生の六人が、全校児童を前に英語であいさつした。「日本の文化や折り紙を教えたい。カナダの友達をたくさんつくりたいです」と六年生の藤崎陽夏(はるか)さん。続いて、カナダの国歌をリコーダーで演奏した。

 同小児童のカナダ訪問は年に一度で今回が三年目。親がカナダ出身の在校生がいるのが縁になった。秋には、日本語を学ぶイギリスの高校生を同小へ招く。

 池田純一校長は「外国語は互いを理解する上で必要なツール。外国語活動と国際理解教育は両輪で進めたい」と意欲的だ。国際交流のノウハウを他の学校に伝える支援組織を、教職員や交流経験豊かな民間人でつくることを検討するなど「東京五輪に向けて、できることをやっていきたい」。

 長野市の小中学校は一九九八年の冬季五輪開催時、各校が一つの出場国・地域の歴史や文化を学ぶ国際交流「一校一国運動」に取り組んだ。若槻小は当時はアメリカや南アフリカを担当。最近の交流は、トルコとイタリアの日本人学校で勤務経験のある池田校長が四年前に赴任してからで、相手国は変わっても運動を継承している。

 同市の西部中は五輪当時からトルコ・イスタンブールのタンプナル校と姉妹学校として交流を始め、二〇〇四年以降、生徒が交互に訪問。今年は七月四日から三日間、トルコの小中学生六人の訪問を受け入れる。授業を見学し給食も食べて、生徒の家にホームステイしてもらう。トルコ在住の日本人が両校の間を取り持ち、西部中卒業生の保護者や地域住民有志でつくる「トルコ・メルハバ会」の協力もあり、続いてきた。

 当初は市内七十五校が参加した一校一国運動も、現在も続けるのは九校のみ。相手国の窓口を務めた人材の高齢化で途切れるなど、継続は容易ではない。西部中も中東情勢の悪化で相互訪問を中断、訪問団を受け入れるのは三年ぶりだ。北沢芳洋校長は「トルコとの交流を経験した卒業生が海外で活躍したりボランティアで支援する側にまわったりと、今では本校の立派な伝統」と継続の成果を話す。

 費用は、長野市が創設した国際交流基金を活用し、渡航費や滞在費などの一部を賄う。保護者にも負担してもらい、学校はバザーや資源回収などで調達する。

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韓国・晋州教育大学校の学生から指導を受け、ちょうちんを作る児童=名古屋市の愛知教育大付属名古屋小で

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 国際交流を後援会が主催する行事に変え、無理なく続けられるようにしたのが名古屋市の愛知教育大付属名古屋小。北朝鮮情勢や教員の働き方改革で四年間途絶えていた韓国の小学生との交流を、今年復活させた。

 五月十七日、韓国の晋州(チンジュ)教育大学校の学生が、五、六年生の教室で授業を行い、晋州の祭りを紹介。児童は伝統のちょうちん作りに挑戦した。五年生の稲垣舞さんは「身ぶり手ぶりを交えた授業が面白かった。Kポップが好き。晋州にも行ってみたい」とにっこり。在校生の保護者らでつくる後援会のほか、有志の教員や愛知教育大の教員も運営をサポート。名古屋小の児童十二人が夏休みに晋州を訪問、現地の小学生と交流する予定だ。

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 文部科学省の調査(一五年)によると、全国の公立小の約六割、中学の約三割で総合的な学習の時間に国際理解教育を実施。ただし子どもを海外に派遣する人的交流は少数だ。国際交流の意義について桜花学園大の高橋一郎教授は、「日本にない価値観や物の考え方を知る機会。これからは外国の人も巻き込みながら行動できる人材が求められる」。自身もオーストラリアへ学生を派遣する留学プログラムを十年続けた経験から「結局は人。継続には信念を持って引っ張るリーダーが必要」と話す。

 (福沢英里)

 

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