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小学校と「支援計画」共有 中学への障害児の情報引き継ぎは?

愛知県大府市の「個別の教育支援計画」の用紙。市町村によって少しずつ形式が異なる

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 「子どもの障害が進学先で理解されるだろうか?」。障害のある子どもの親が、しばしば抱く不安だ。教育相談コーナー「ほっトライン」にも、相談が寄せられた。小中学校の連携は今、どうなっているのか調べてみた。

 愛知県内の小学校に通うA君は六年生。明るく活発だが、落ち着きのない態度を母親は心配している。母親は、スクールカウンセラーにも相談していて、学校には、発達障害の可能性を考えて対応してもらっている。母親が今、不安に思うことは約一年後に迫った中学校への進学。中学校では教科ごとに担当の教師が替わり、必ずしも、息子の特性に理解がある対応を取ってもらえないかもしれないと考える。

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 障害のある子に関する学校同士の連携では、現在、多くのケースで「個別の教育支援計画」が使われている。計画は、障害の状態や必要な支援、支援の目標などを、長期的な視点に立ち、まとめた書類だ。障害に対する認識が、周りにいる大人によってころころ変わっては、子どもが混乱する。それを防ぐ手段の一つだ。中京大現代社会学部の辻井正次教授(発達臨床心理学)は「支援の土台になる書類」と説明する。

 診断書がなく、通常学級に所属していても、障害への対応が必要な子は、計画作成の対象になりうる。計画は、保護者の了解のもと、幼稚園や学校が毎年作り、日ごろの支援の指針となる。転校や進学の際には、引き継ぎの基礎資料になる。

 通常学級での計画作成は十年ほど前に始まり、徐々に広がっている。例えば、愛知県によると昨年九月、県内の小学校の特別支援学級に所属する子の99・5%、通常学級にいて支援が必要な子の56・0%で、計画が作られていた。

 愛知県教育委員会特別支援教育課の担当者は「小学校で計画が作られていれば、保護者の了解を得て、必ず中学校に引き継がれる」と説明する。他県でも同じだ。計画がなくても、支援に関する情報は保護者の了解のもと引き継がれるが、計画があれば、より正確に情報が伝えられるという。その情報を基に、中学校に求める支援や指導について、学校と保護者や本人が話し合う。

 二〇〇七年度から個別の教育支援計画を作っている愛知県大府市では、計画による情報共有のほか、中学校の教員が小学校に支援が必要な児童の様子を見に行くなどして、理解に努めている。同市教委の沢田まなみ指導主事は「計画によって、担任の指導方針などが明確になる」と話す。

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 名古屋「障害児・者」生活と教育を考える会代表の川本道代さんによると、支援の必要性が高い生徒には特別支援学校を暗に薦める学校もまだあるが、中学校での障害への理解、対応は以前に比べ良くなっているという。最近、中学校に入学した子の親からは「考えていた以上にきめ細かく学校側が対応してくれた」との声も聞かれる。

 愛知県東部の中学校に通う、知的障害のある一年の女子生徒の母親は、二月にあった中学校の入学説明会の前に、小学校から「説明会の後、中学校と話し合いますか」と打診があった。

 説明会後に、中学校の教頭らが母親と面談。女子生徒の障害の程度や支援に対する希望などの確認があった。その後も、教室を見せてもらったりして、漠然とした不安が解消された。支援にも希望が反映された。説明会で、入学に不安を持っている保護者がいないか、呼び掛ける中学校の姿勢も好感が持てた。女子生徒は今のところ、順調に中学校に通っている。

 県特別支援教育課の担当者は「もし、中学入学前にお子さんの障害のことで不安があれば、まずは通っている小学校の担任や特別支援教育コーディネーターに相談していただきたい」と話す。必要に応じて中学校と連絡を取ってもらえ、内容によっては事前の相談や見学、学校設備の改善などにもつながるという。

 (佐橋大)

 

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