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「スカイプ」で生徒ら国際交流 滋賀・米原高、英語で研究テーマ議論

ベルギーの小学生とスカイプで交流する米原高校の生徒たち。左は堀尾美央教諭=滋賀県米原市の米原高校で

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 JR米原駅から歩いて15分。坂道を上った山の中にある滋賀県米原市の県立米原高校が、部活動や授業でインターネット電話「スカイプ」を使ったユニークな国際交流に取り組んでいる。「外国人よりサルの方が多い」という環境下、海外の子どもたちと英語でやりとりしながら、生徒たちが得ているものは。

 スクリーンに映るのは、国籍も肌の色も異なる子どもたち。チベット、イスラエル、ブルガリア、タイ、コートジボワール…。ESS部(英語研究会)の生徒が「ヨーロッパにありますか」「海に面していますか」などと英語で問いかけた。

 交流学習を目的にしたプログラム「ミステリースカイプ」の一場面。スカイプを通して、お互いにどこの国や地域にいるかを知らない生徒同士が英語で質問したり、ヒントを出したりして相手の居場所を当てる。「はい」か「いいえ」で答える質問に限られ、地図を片手に地域を絞り込む。欧米の教員に人気という。

 相手のいる場所が分かれば、人気の歌を披露したり、簡単なあいさつを教え合ったり。特に歌手ピコ太郎さんのパフォーマンス「PPAP」は受けがいい。冒頭の相手は、ベルギー・アントワープの小学校に通う十〜十二歳の子どもたち。アジアやアフリカから同国に渡った移民や難民の子どもも通う。共通言語のオランダ語も飛び交っていた。

 続いて、世界八十五カ国から五百校近い学校が参加する「イノベーションプロジェクト」の成果も披露し合った。参加校が一つのテーマで一カ月、調査研究してきた成果を動画で発表し、スカイプを通して英語で意見を交換する。今回のテーマは「技術革新」で、途上国の水不足解決のため、飲料用の水の汚れを回転しながら取り除く浄水タンクのアイデアを三年生が提案。ベルギーの小学生が示した多機能スマートフォンには「誰が考えたの?」などと質問した。

スクリーンに映るベルギーの小学生。技術革新をテーマに考えたアイデアを紹介してくれた=滋賀県米原市の米原高校で

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 タンクを考案した理数科の新美璃空(りく)さんは英語は苦手だが、数学の知識を生かし存在感を発揮した。部長の松本小鈴さんは英語のディベートの県大会で昨年、「ベストディベーター」に選ばれた実力派。スカイプで交流を重ね「世界は狭いと分かった」と話す。

 活動を進めるのは、普通科英語コースの堀尾美央教諭(32)。英語を使って海外の人にふれる機会を増やそうと、比較的安価で操作も簡単なスカイプに着目し、二〇一六年から授業などで使い始めた。用意するのはパソコン、マイクやスピーカーなどの音声機器、プロジェクターにスクリーン。あえて英語圏以外の国を選んで教室とつなぎ、英語が国際共通語と認識してもらう。

 いざ二年生の授業で実践すると、「語学にとどまらない学びが得られる」と気付いた。相手を知ろうと積極的にコミュニケーションをとり、現地の生の声から情報を得ようとする姿勢。ミステリースカイプでは、「テロで危険な国だから、スカイプで交流できるはずがない」と思っていたイスラエルの子どもが相手だったこともあり、生徒は先入観をひっくり返された。

◆「ミステリースカイプ」参加は海外小中が中心

 日本の学校でスカイプを使った学習はまだ少ない。ミステリースカイプなどは欧米の企業や個人が開発した仕組みで、参加校は海外の小中学校が中心。日本の小中学校は主に専用のテレビ電話システムを使い、離島や山間部にある小規模校で遠隔合同授業が行われている。

 スカイプは通信の途切れや音声の遅れが起きやすく、海外とは時差もあって敬遠されるが、手軽さという利点もある。文部科学省は今年、常勤のALT(外国語指導助手)がいない山間部などの小中学校で、スカイプでALTや海外の学校と交流する授業の調査研究を公募し、選定中だ。

 堀尾教諭は昨年、英国の団体が主催し、世界の優れた教師を選ぶ「グローバルティーチャー賞」の上位五十人に日本人で唯一、選ばれた。地方の学校で情報通信技術(ICT)を活用して世界の国とつながり、生徒の国際社会への興味を高めた点などが評価された。三月にアラブ首長国連邦のドバイであった授賞式で海外の受賞者から刺激を受けたと言い、「日本文化を発信するなど可能性を探りたい」と取り組みを深化させる考えだ。

 (福沢英里)

 

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