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教育

指導者用デジタル教科書、小中学校で導入

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 デジタル教科書が学校で使われるようになっている。主には指導者用といって、教師が電子黒板などと一緒に活用する。文部科学省の調査では公立小中学校の約半数が導入。使用している自治体によると、分かりやすい授業づくりや、授業準備の効率化などへの効果が報告されているという。

 「色板四つでできた形はどれかな?」。三月、滋賀県草津市の志津南小学校では、教師の問い掛けに一年生が一斉に手を挙げた。三角形の色板を組み合わせ、さまざまな形を作ろうという単元だ。子どもたちの見つめる先にあるのは電子黒板。算数のデジタル教科書の「かたちづくり」のページが大きく映されている。紙の教科書と同じ内容で、画面に指で文字などを書ける。

 指名された児童は、画面を指でなぞり、これだと思った図形を丸で囲んだ。「先生、他にもあるよ!」と他の子が声を上げた。一つの画面を見て、皆で考える活動が印象的だった。

 水野晃校長は「以前なら、先生が色板を切って、黒板に色板を並べたり、教科書を何回もコピーして拡大し、黒板に張ったりといった手間がかかった。電子黒板とデジタル教科書のおかげで、授業準備が短くなった」と話す。

 草津市は小学校で二〇一一年度、中学校では一二年度に指導者用のデジタル教科書を導入。小学校は、四教科(国語、算数、理科、社会)、中学校は四教科と英語で使っている。

 中学校の英語のデジタル教科書には、文章を読み上げる声が録音されていて、聞き取りの練習や読む練習の手本に使っている。電子黒板に映された文章が、読み終わった部分だけ色が変わる機能もあり、文字が追いやすい。同市の玉川中学校の社会科では教科書の重要な部分を電子黒板で拡大し、生徒たちに印象づけていた。

 岐阜市も一三年度に導入。小学校では四教科に加え書写、音楽、中学校では四教科と英語、技術・家庭科で使っている。国語では漢字の書き順、書写では文字のはらいや止めの書き方、技術・家庭科では調理や木材加工の様子を収めた動画などが収録されている。加工の過程など、何度も実演するのが難しいシーンでも、デジタル教科書なら繰り返し見せられる。国語の教科書についている読み上げ機能を使えば、教科書を読む間、教師は児童、生徒の観察、指導に集中できる。同市教育委員会の担当者によると、授業準備の時間短縮に加え、分かりやすい授業づくりにも役立っているという。

 課題は、お金がかかることだ。例えば、草津市では小中学校計二十校で、デジタル教科書の四年間のライセンス費用として二千六百三十万円を支払っている。東海地方で、導入していない自治体の教委の担当者は「教育の課題は他にもある。そこまで手が回らない」と話す。

 文科省の調査では、昨年三月時点で指導者用のデジタル教科書を使っている学校は、小学校で52・1%、中学校58・2%、高校12・5%。都道府県別では、佐賀県が98・7%と最高で、北海道が16・5%と最も低い。

◆学習者用普及へ自治体負担大

電子黒板に映したデジタル教科書に書き込む児童=滋賀県草津市の志津南小で

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 デジタル教科書には、指導者用のほかに、児童、生徒が使う学習者用がある。文科省の統計はないが、指導者用ほどは普及していない。紙の教科書と内容は同じで、今国会に提出中の学校教育法改正案が可決されれば一九年度以降、紙の教科書に代えて、使えるようになる。

 学習者用のデジタル教科書は、指導者用と同じく、文章を読み上げる機能や関連の動画を再生する機能などを備え、子どもたちがタブレット端末で操作する。障害のある子の学習支援や、より高い学習効果を得ることを目的に一部の学校で紙の教科書と併用されている。文科省の担当者によると、法改正により重い障害のある子が、デジタル教科書だけで学ぶことも可能になる。

 ただ、学習者用のデジタル教科書には、タブレット端末や校内無線LANの整備が不可欠で、それらの整備は原則、自治体の負担になる。指導者用以上に自治体の負担は大きい。

 (佐橋大)

 

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