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教育

掲示を工夫し学習環境向上 壁ごとに目的、黒板はすっきり

仕事が終わったことを示すマグネットを張る林わかな先生(一部画像処理)=愛知県尾張旭市の旭小で

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 授業参観やクラス懇談会などで、保護者が学校に足を運ぶ機会が増える時期。校内の掲示物が、以前よりすっきりしているように見える。子どもが掲示物に気を取られないよう、配慮もされているという。どんな工夫が、なぜなされているんだろう。

 愛知県尾張旭市の旭小学校。今年三月、一年生の教室に入ると、国語の教科書に登場する単元「くじらぐも」の大きなくじらが目に飛び込んできた。水色の紙に描かれた白いくじらぐも。「すぴどがはやい」「わあ こんなけしきはじめてみたよぅ」と、子どもたちの感想も記されている。

 「教科書で学んだ内容を映像として記憶にとどめてほしかった」と担任の林わかな先生。子どもたちにも紙を切ったり、顔を描いたりしてもらい、クラス全員の仲の良さが伝わる掲示物になった。

子どもたちの素直な感想が並ぶ「くじらぐも」の掲示=愛知県尾張旭市の旭小で

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 教室の後ろの壁には、係の仕事の掲示物もある。ちょうど子どもの手が届く位置。「こくばん」「まどしめ」など、仕事が済んだら、子どもが缶に入ったマグネットをペタッと張る。マグネットが付いていなければ、仕事が終わっていないとひと目で分かる。先生がいなくても、子どもたちが自分で仕事を進めるように促すねらいだ。

 掲示物は必要最小限に絞り、目的に応じて張る場所を決めているという。くじらぐものような学習内容に関連した掲示物は出入り口側の壁に集約。後ろの壁には、係の仕事のほか、一年の行事や子どもたちの作品もあり、授業参観などで教室に来た保護者や地域の人たちが見やすくした。

 林先生は子どもたちの椅子に座って教室を眺め、子どもの目にどう映るかを確認している。視線があちこちにいかないように、黒板とその周辺への張り付けは極力避ける。見づらければ作り直し、子どもの反応を見て外すこともあるという。浅野謙一教頭は「掲示は学習環境を整える大切な要素の一つ。子どもたちが落ち着いて過ごせるよう導く役割がある」と話す。

クイズ形式の掲示物の紙をめくる松尾寿美代先生=岐阜市の徹明さくら小で

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 めくったり、裏返したり。手で触れることで学習効果をねらう掲示物もある。昨年四月に統合新設校としてスタートした岐阜市の徹明さくら小学校は、子どもたちの活躍が分かるよう、改修工事に合わせて掲示スペースを増やした。

 保健室の前にある掲示コーナーには、五年生が作った歯にまつわるクイズが二枚重ねの画用紙に書かれている。紙をめくると答えが読め、健康な歯を保つための知識が身に付く仕掛けだ。

 傍らには、ひもでつり下げられたハート形の紙のカード。「八方美人な」をめくると「誰とでも仲良くできる」、「頑固」をめくると「粘り強い」に変わる。友達付き合いの中で、物の見方を変える大切さを伝える掲示物。毎日廊下を歩く子どもたちの目を引こうと、養護教諭の松尾寿美代先生が工夫を凝らす。「触れているうちに自然と学んでほしい」と、季節に合わせた話題を選ぶという。

◆目、耳からの刺激減らす

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 かつては学級目標などを書いた模造紙が張られた教室の黒板の上。取材に訪れた二校は、特に低学年の教室で、子どもたちが黒板に集中できるよう、掲示物がなく、すっきりしていた=写真。

 特別支援教育に詳しい佐藤賢・愛知淑徳大文学部准教授は「学校の掲示にもユニバーサルデザインの考え方が必要」と指摘する。ユニバーサルデザインとは、障害の有無や年齢、性別などにかかわらず、誰もが使いやすいことを指す。

 配慮が必要な教室環境は、掲示物に限らない。ポイントは、目や耳から入る刺激を少なくすること。ボールや学用品など雑多な物が収納された棚には目隠しをする▼椅子を引く音を抑えるため、椅子の脚に緩衝材を貼る▼鉛筆削りや雑巾など共同で使う物の置き場所を決め、見れば分かる状態にする−などは一例だ。

 佐藤准教授は「障害のある子には必要不可欠だが、他の子どもも過ごしやすくなる」と通常学級でも配慮が必要だと強調する。

 (福沢英里)

 

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