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実現のため、内容も吟味を 部活動に休養日、学会で議論

部活動について意見を交わすシンポジストら=東京都豊島区の学習院大で

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 全国の中学、高校教員や研究者、学生らが部活動について議論する「日本部活動学会」の第一回大会が三月二十五日、東京都豊島区の学習院大で開かれた。中学校での運動部活動は週二日以上の休養日を設けるとするスポーツ庁が定めたガイドライン(指針)などについて交わされた意見を紹介する。

 話題の一つ、スポーツ庁の指針は三月十九日に示された。中学校の運動部では、週二日以上の休養日を設け、活動時間は平日で二時間程度、休日で三時間程度までとした。指針は高校の運動部にも原則、適用する。ただし、法的な拘束力はない。

 「体育を含め、運動する時間が週十六時間を超えると、けがの確率が高まる」

 教員の働き方に関する中教審の部会の委員で教育研究家の妹尾昌俊さんは、指針によって部活動の時間を制約する根拠を、子どもの健康を守る観点から説明した。

 これに対し、名古屋大大学院教育発達科学研究科の内田良准教授(教育社会学)は、「二十一年前に文部省(当時)が作った同様の指針は有名無実化した。書いただけでは守られない。(大会などで)勝つために活動が過熱してしまう」と実効性に疑問を呈した。

 宮城教育大教育学部の神谷拓准教授(保健体育)は、大学や高校の推薦入試で部活動の成績が考慮されていることに触れ、この点が変わらないと指針が前回と同じ道をたどりかねないとした。また、部活動の過熱を避けるためには、時間の規制にとどまらず、経験させる内容を明確にする必要があるとした。

 妹尾さんは、指針の科学的根拠が示されていることと、世論の後押しがあることが前回との違いだと説明し、「他業界と比べても、教員は労働時間が『過労死ライン』を越える割合が多く、その多くは授業の準備にも熱心で、部活動のウエートも高い。部活動改革なくして中学、高校の働き方改革なし」と強調。

 教員に代わって部活動を指導する外部の人材「部活動指導員」を国の予算を活用して配置するには、各自治体が国の指針に準じた部活動改革案を示すことが条件になっていることから、「予算を取りたい自治体は『ガイドラインを守っている』と言うはずだ。ただし、実質どうなるかはしっかり見ていかないといけない」と述べた。

◆「指導員導入」に多くの課題

 部活動学会は昨年十二月発足。会員は百八十三人(三月二十九日現在)。第一回大会には、非会員を含めて約二百四十人が参加。その問題意識を挙げてもらい、議論を進めた。

 教員の負担軽減策で期待される部活動指導員について、関東地方の教育委員会の複数の担当者から「若い人は、部活動の時間帯に仕事をしている人が多い。なり手を探すのは大変」「予算規模も小さすぎる」といった厳しい指摘が出た。

 部活動と地域のスポーツ活動との違いや部活動の法的位置づけと制度改正の方向性、「『もっと練習したい』という生徒の要望に学校はどこまで応えればいいか」などの論点も挙がった。

 部活動で教員が指導することの意義を指摘する意見もあった。大阪市内の中学校で野球部の顧問を務める杉本直樹教諭は「時代に合わない部分は変えていかないといけない」としつつ、「部活動で自信を付け、変わる生徒もいる。学校での日常生活を見ている教師だから生徒の成長を認め、褒めることもできる」と語った。

 学会長の長沼豊・学習院大教授(教科外教育)は、部活動の現状を「肥大化した風船」に例え「あらゆるところから針を刺して、適切な姿に戻さないといけない。適切な姿を議論するための学会」と宣言。大会後の会見で、「論点がたくさん出て、いいスタートが切れた。十二月の研究集会では、なるべく多くの良い実践を発表してもらい、情報を共有したい」と話した。

 (佐橋大)

 

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