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教育

<NIE> 不登校児の学びに新聞

活発に話し合いながらNIEの課題に取り組む生徒たち=名古屋市中村区の東京大志学園名古屋校で

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 不登校の児童、生徒が学ぶ教育機関でNIE(教育に新聞を)の取り組みが広がっている。身近な話題を使って学習意欲を高めたい、不登校の一因ともなるコミュニケーションの苦手意識を減らしたいといった思いからだ。二〇一七年度から始めた二校を取材した。

 公益財団法人「こども教育支援財団」が、不登校の小中学生の学校復帰のため名古屋市中村区で開く教育機関、東京大志学園名古屋校。ここでは、小中学校と同じように時間割がある。

 毎週水曜の一時限目は「NIE」の時間。生徒たちは、新聞の見出しを切り抜いた言葉を組み合わせて川柳を作ったり、記事から熟語を抜き出し、漢字の問題をグループごとに作り、問題を解き合ったりするなど、新聞を使った課題に取り組んでいる。

 二月二十一日のNIEの課題は「新聞から数学の問題を作ろう」。茨木泰丈先生が例として、群馬県の草津白根山の噴火を伝える記事に付けられた地図の「噴石への警戒が必要な範囲」の面積を求める問題などを示した。授業に参加した中学二年と三年の八人の生徒たちは新聞を読み、例題を参考に、問題を考えた。

新聞から作られた例題を解く生徒たち=名古屋市中村区の東京大志学園名古屋校で

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 株価のページから、抜き出した株価の平均値を求めさせる問題や、平昌五輪のカーリングの勝敗表の一部を隠し、その部分の勝ち負けを、試合数や勝ち負けの数などから論理的に推測させる問題などを作り、解き合った。「問題を解くことより作ることが難しいなあ」と生徒たち。

 中学三年の女子は「NIEの時間は楽しい。新聞は、こんな使い方もあるのかと思った。知識も増えて、勉強になる」、三年の男子は「株価とか普段興味を持たないものも読むし、こういう時間はいい」と話す。

 茨木先生は「不登校の子たちにとって、新聞は、自信を取り戻すのにバランスのいい教材」と話す。茨木先生によると、不登校は、将来の見通し、コミュニケーション、学力などで自信を失ったときに陥る。東京大志学園は、これらの自信を取り戻すプログラムを作っている。

 NIEは仲間と課題に取り組むので、考えを伝え合う経験を積む。それによってコミュニケーションの自信を取り戻す。社会とのつながりも強まる。知識もつき、それも自信になる。新聞記事は、子どもたちも関心の持てる話題が、簡潔な文章でまとめられていて、文章の構成を学ぶ題材としても適しているという。

子どもたちも制作に加わる「プレゼールしんぶん」=名古屋市中村区の名古屋プレゼール学園で

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 名古屋市中村区にある、英会話に特化したフリースクール「名古屋プレゼール学園」は昨年十月から、NIEに取り組んでいる。

 学園には、通信制高校の在籍生徒も含め、小学五年生から高校二年生までの十一人が通っている。中には、コミュニケーションに自信のない生徒もいる。学園は、初対面の人への苦手意識を減らせればと、意識的に外部の講師を多く招いている。その一環で、NIEの講師も招いた。

 同時に、学園の様子を保護者や地元の学校に伝える月一回の新聞作りに、子どもたちにも加わってもらうことにした。新聞を作ることで、読む人を意識して文章を書く癖がつき、人に伝える力がつくのではないかと考えたからだ。

 一日は、人に伝わる文章の書き方をテーマに、中日新聞NIE事務局の酒井ゆりさんが講師を務めた。酒井さんは「一つ一つの文章は短く」「同じ言葉を繰り返さない」「具体的に書く」といった新聞記事の書き方の基本を、例文を示しながら説明。小学生から高校生までの六人は、幼児の運動会の絵を見て、「何月何日に開かれましたか?」「二番目を走っている子の名前は?」と、取材を模擬体験した。六人は、模擬取材を基に記事を書く練習をし、学園の新聞に載せる記事や見出しも酒井さんの指導で考えた。今月中には短期留学などの経験を伝える「プレゼールしんぶん」の最新号が発行される予定だ。

 (佐橋大)

 

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