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教育

慣れるから学ぶへシフト 小学生向け英語新教材

文科省が公開した、2018〜19年度に小学校5、6年の授業で使われる英語の新教材「WeCan!」のコピー

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 文部科学省は今秋、新学習指導要領の全面実施前の2018〜19年度に小学校5、6年生が使う外国語活動の新教材「We Can!」を公表した。新しい指導要領に基づき、より高度になる中学校での授業にスムーズに入っていけるよう、英文を読み、書く学習が始まるなど、これまでにない学習内容が一部盛り込まれている。

 「I went to the sea. I enjoyed swimming.(私は海に行った。私は水泳を楽しんだ)」。小学六年生用の「We Can!2」で目を引くのは、動詞の過去形を用いた文章。夏休みの思い出を伝える単元で出てくる。過去形は現在、中学一年で習う内容だ。載っている文章は、今の小学生用の教材「Hi,friends!」に比べて長め。「聞く・話す」を中心に英語に慣れ親しむことが目的の現在の外国語活動から、「読む・書く」も含めて、英語の基礎を学ぶ教科・英語への変化が見て取れる。

 ただ、「動詞には過去形があり、規則変化の動詞と不規則変化の動詞があって…」と、中学校から文法中心に学んでいたころとは、授業の仕方が異なる。

 教材には、海やスイカなど夏休みを連想する絵と、それに対応する「sea(海)」「watermelon(スイカ)」の単語が載っている。教師が、絵に関連した過去形入りの文を話したり、音声教材で聞かせたりする。児童は、聞いた文の内容を推測し、「過去のことを表すときには動詞の形が変わる」と気付く。教材には、英文を聞き、遊び感覚で解く問題も載っている。表現に慣れ親しんだ上で、自分の夏休みの経験を話したり、書いたり、英文を読んだりする。

小学6年生が使う新教材で、過去形を扱うページのサンプル

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 小学校の外国語教育に詳しい愛知教育大の高橋美由紀教授は「小学生に対応した教え方になるよう、教材も対応している。大人は自分の学習経験から『小学生で過去形なんて大変』と言わないで。子どもは先入観を持ってしまう」と注意を呼びかける。

 このほか、「fast(速く)」「high(高く)」など、小学校で習う副詞が増える。「can(〜できる)」の登場が六年から五年に前倒しされるなどの変更点も。文章の音読や書き写しなど、読み書きの要素も入ったが、活動の中心は、英語を聞き、理解すること。そこで分かった内容を書き留めるのは日本語で構わない。

 図や絵も多く、小学生がなじみやすい工夫はされているが、併用する従来の教材に比べ文字が多い印象は否めない。「文字の多さに戸惑うかもしれない。あまり文字を意識しすぎずに、音声から文字指導へと児童が自然に学べるように教えてもらえれば」と高橋教授は話す。

      ◇

 小学五、六年の外国語活動は現在、年間三十五こま(一こまは四十五分)。二〇年度には新しい指導要領に基づいて教科に格上げされ、年間七十こまに増える。中学での新学習指導要領への移行は一年遅れの二一年度から。文部科学省は一八、一九年度を小学校の移行期間に設定。この間、総合的な学習の時間などを活用して、五、六年の外国語活動の時間を年十五こま(計年間五十こま)確保し、新学習指導要領の内容を一部前倒しして実施するよう小学校に求めている。新教材にはその内容が反映されている。

 文科省は年内に、新教材に対応するデジタル教材と小学三、四年用の教材を公表する予定。高橋教授によると、来年四月の使用開始までに十分な教材研究の時間が取れるのか、現場では心配の声もあるという。

 (佐橋大)

 

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