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研修者「教員の連携を実感」 学テ連続上位の福井県

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 小学六年と中学三年を対象に実施される全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)も今年で十回目。都道府県別で見ると上位の顔ぶれは変わらず、中部地方は福井県などが名を連ねる。順位付けには批判もあるが、学力の“秘密”を探ろうと福井の学校で一年間研修する教員は増えつつある。参加した二人に、教育現場で感じた福井の強さを聞いた。

 −A先生は中学校、B先生は小学校で教えた。

 A先生 自県の教育委員会から派遣の話があった。僕は副担任として保健体育を三クラス、週約九時間持ち、県や市の研修にも参加した。

 B先生 三年の算数のチームティーチングや、五、六年生の少人数指導を経験した。児童が真面目で規律正しいというのが第一印象。聞く態度や学習意欲が育まれていて、どの学年も授業がやりやすかった。

■全教員に力量

 −教員の姿は。

 A先生 福井は子どもに「落ちこぼれ」をつくらないが、その根本に教員の「落ちこぼれ」がいないことが大きい。すべての教員が一定の力量を持っている。

A先生が研修後、自分が勤務する中学校で教科会を組み入れた時間割。「国語教」などの文字が見える

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 B先生 児童に目当てと見通しを持たせ、分かりやすい授業をしている。学習内容を思い出せるような教材を教室に掲示して、定着も図っていた。生活指導一つにしても、教員全員が同じ方向を向いて取り組む。

 −そんな教員を育む仕組みは。

 A先生 ベテランが出し惜しみせずに指導し、若手を育てている。自分はクラスを良くした要因を人に教えるのに違和感があった。自分で見つけるもの、教わるものじゃないという感覚。でも福井は指導案から掲示物の張り方まで面倒見がいい。加えて、教科別に先生が集まって授業づくりを協議する「教科会」が機能していた。週一回、時間割の空いている所に設定していた。放課後だと、部活や出張でなあなあになってしまうことも多いから。

■目標が具体的

 B先生 普通、公開授業は学年で一つくらい。でも福井では全教員が年二回必ずして、一回は教委の指導主事、もう一回は学校の管理職から丁寧な指導を受ける。授業を学び合う機会が多い。学校運営の管理計画も、福井は課題を検討して重点項目を絞り具体的な目標数値を掲げる。だから絵の中の餅でなく実効性がある。例えば、読書冊数の学年目標を達成する児童を八割以上にするとか。教員全員で目標を共有してもいる。

 −だから学テも上位?

 A先生 単純に勉強量も多い。僕がいた中学校では三年生は九月下旬から七時間目に補習があった。プリントや入試の過去問をやる。夏休みの補習も自分の学校は自由参加で、来るのは二割くらい。福井は全員参加。きちっと勉強させているので身に付く。

 B先生 宿題の量も多いが、教員が徹底指導して全員にやり切らせている。低位層の児童も学力が底上げされ、基礎力が定着する。私がいた市では、四年生以上は九月に市の確認テスト、十二月に県の学力テストがあり、確かに全国学力テストへの準備はしていた。現場では「順位を落とせない」という教員の必死さも感じたが、結果は日常の授業との相乗効果とも思う。

◆派遣受け入れ7年目

 福井県は二〇一一年度、「学テの結果を受けて他県から要望があり」(学校振興課)、県外の教員の一年研修を始めた。初年度は二県三人で、一四年度は六県八人、本年度は四県一市十一人と微増している。

 初年度から派遣する茨城県教委は「四十代未満の若手が教科指導など実践を通してノウハウを学べる。若手リーダーを育てることが学力向上につながる」。戻った教員は校内で教科会を設けたり、一人の教員が複数の学年を教える「タテ持ち」を提案したりと経験を生かしているという。

 ただ福井の取り組みを、そのまま取り入れるのは難しさも。ある教員は「子どもも違うし、教員の意識もそこまで高くない」。別の教員は「福井は低位層はいないが、逆に飛び抜けた子が少ない。福井の徹底指導を取り入れつつ、自由に上位層を伸ばす自県の教育も大切にしたい」と話す。

 (世古紘子)

 

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