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一日の授業数を削減 静岡・吉田町が夏休み16日間に短縮する案 

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 次期学習指導要領が求める授業数の増加と、教員の負担軽減を同時にかなえるには−。全国の自治体が頭を悩ませる中、静岡県吉田町が大胆な策を打ち出した。来年度から町立小中学校の長期休暇を年間二十日ほど削って計四十日程度とし、一日当たりの授業数を減らす計画だ。町は「授業の準備にゆとりができ、学力向上にもつながる」とするが、子どもや教員への影響を心配する声もある。

 八月二十五日、同町中央小学校で始業式があり、児童七百二十七人が新学期をスタートさせた。町は七月までに教室に空調設備を整え、来年度への移行措置として全三小学校で夏休みを二十九日間から二十三、二十四日間に、全一中学校で三十三日間から二十九日間に減らした。六年男児は「短くて残念。早めに宿題を終わらせて遊んだけど一カ月はほしい」と本音をこぼした。

 二月に打ち出された町の教育改革案は、昨年度二百六日だった授業日を本年度は二百十日、来年度は二百二十日以上とした。春、夏、冬の長期休暇は計四十日程度とし、夏休みは十六日程度になる見込み。

 大胆な改革案の出発点にあるのは、二〇二〇年度に実施される小学校の学習指導要領だ。小学三、四年は外国語活動が、五、六年は教科の「英語」が各週一時間増え、授業数は年三十五時間増える。

 六時間授業の日を増やせば対応もできるが、もう一つの課題が教員の勤務過多の解消だった。昨年度の調査では同町教員の時間外勤務は小学校で月平均五七・六時間、中学校は九〇・一時間で「過労死ライン」の八十時間を超えた。町学校教育課の担当者は「これ以上、一日の授業数を増やせば負担になる」。

 来年度からの週時間割=表=は五時間授業のみや四時間授業の日を設けることを想定。結果として時間外勤務は小学校が月平均四十時間以内、中学校は部活指導も含め六十時間以内に減ると見込む。担当者は「放課後に余裕が生まれ、授業の準備に時間を充てられる。質の高い授業ができれば学力向上につながり、子どもにも利点になる」と話す。

 町教育委員会は六月以降、保護者らを対象に説明会を開いてきたが、中には夏休みの短縮を心配する声も少なくない。小学二年と四年の娘の母親(36)は「学校に行く日が増えれば子どもへの負担が心配。そんな状況で学力が上がるか疑問」。サッカーユースチームに所属する中学一年の息子がいる中田博之さん(41)は「試合や合宿があり、学校を休んで参加しないといけない」と漏らす。

 教員の負担軽減にはなるのだろうか。本年度は夏休み短縮で授業日が四日増え、町には学校から「正規の勤務時間内に会議を入れられた」「授業の準備ができた」と声が寄せられた。

 ただ、県教職員組合の赤池浩章書記長は、「子どもが学校にいれば、けがやいじめなど授業以外の対応も求められる。授業日が増えれば疲弊する」と危ぶむ。夏休みは県の研修会や教員免許の更新講習などもあり、「日程上参加が難しくなれば、授業方法や指導要領への対応などを学ぶ機会が制約される」と配慮を求める。

(世古紘子)

◆休み期間の見直し 他の市町村も試み

 公立校の長期休暇の期間は各市町村が決める。授業数の増加を見越し、夏休みを短くする動きは各地で出ている。

 大分市は本年度、小中学校で一週間短縮。担当者は「台風による休校もあり授業数が不足する可能性がある。土曜授業も検討したが、スポーツ少年団などの活動に支障が出る」と説明する。

 北九州市は空調設備が整う一九年度に六日間を削る。六時間授業や土曜授業も年数回実施しており、担当者は「短縮すれば二十〜二十六時間を確保できる」。

 大阪市や高松市なども、多くが約一週間の短縮。ある市教委職員は「夏休みは子どもたちが社会体験をする貴重な期間でもある。ある程度日数を確保することも大切だ」と話す。

 

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