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<変革2020>英語授業への備え万全に 小学校の先生、進む研修

背中にアルファベットを書く「背中で伝言ゲーム」をする教員たち=名古屋市熱田区の沢上中学校で

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 二〇二〇年度、小学校で英語が教科化されるのを見据えて、教員を対象にした準備がこの夏休みにも進んでいる。授業法を研修で伝えたり、説明会を開いたり。不慣れな教員の不安を解消できるか。

 背中に指でアルファベットを一文字書く。書かれた人は「あ、分かった」と言い、前の人の背中に指で字を書き、伝える。八月上旬、名古屋市内で、市内の小学校教員向けに開かれた「英語指導法研修会」だ。

 現在、五、六年生で週一こま行われている「外国語活動」は、二〇年度から、週二こまの「教科英語」に格上げされる。外国語活動は「聞く」「話す」が中心だが、教科の英語では「読む」「書く」にも力を入れる。

 学ぶことが増え、小学生の英語嫌いが増えるとの懸念もある。背中でアルファベットを伝えるゲームは、楽しく学ぶ工夫の一つだ。

 研修会は三日間で、市内の小学校の教員九十人が参加。文部科学省が専門機関に委託している十日間の「中央研修」で授業法を学んできた教員三人から、三班に分かれ、児童が授業を受ける形で指導法を学んだ。

 春田小(中川区)の田中良二教諭は、絵本「はらぺこあおむし」の英語版を使った授業を実演。英語で読み聞かせ、途中に「Look at this. What is this?(見て。これは何?)」などと問い掛けた。よく知られた話で、曜日や数、色、果物の名前も出てくるので、英語の教材に適しているという。「一つのアイデアで、単純な活動が楽しくなります」と田中教諭は話した。

 研修は、教室で使う英語表現のおさらいや、文字と発音の関連を分かりやすく伝えるための基礎知識、身近な素材を使い授業をする工夫など、多岐にわたる。

絵本「はらぺこあおむし」の英語版を使った授業をする田中教諭と、子どもの立場で授業を体験する教員たち=名古屋市熱田区の沢上中学校で

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 文科省の方針に従い、同市は昨年夏から、こうした研修を実施。新学習指導要領導入の前年度の一九年度までに、市内すべての小学校に、研修を受けた教員を配置する。各校では、研修を受けた教員が中心になり、授業法を伝える。同様の取り組みが全国の市町村で進行中だ。

 それとは別に、一部の学校では外国語活動の研究授業をして、学校内外の教員が共に先進的な指導法を学んでいる。夏休みに、英語の教科化について小学校の教員に説明会を開く自治体もある。

      ◇

 教科化により、五、六年生で英語に触れるこま数は増え、内容も高度になる。文科省の示す指導計画案によると、あいさつや「これは何?」など簡単な文章を英語で話す今の外国語活動の内容に加え、過去形を用いて夏休みの思い出を話すなど、新しい要素も盛り込まれる。小学校で習う英単語は六百〜七百語にのぼり、今、中学校で習う英単語約千二百語の半分近くにあたる。週一こまの外国語活動は、三、四年生に前倒しされる。

 外国語活動では、外国語指導助手(ALT)と担任の二人体制で教えることが多いが、こま数の増加でALT抜きの授業が増えるとの見方もある。国も増員のための予算はつけない。

 愛知県のある小学校教諭は「多くの先生は小学校での英語の教え方を知らない。教科化で、どうなるのか心配する同僚は多い」と話す。別の教諭は「英会話を習っている子と、そうでない子で、英語力の差が大きい。どう教えたらいいか」と胸の内を明かす。

◆採用も英語力重視の流れ

 小学校教員の採用も、英語力を重視する流れだ。

 三重県は本年度行う採用試験で、「小学校英語教育推進者特別選考」を新設した。小学校の教諭免許と中学校英語の教諭免許も持っている人が対象。同県には、英検一級など、英語力を示す資格を持つ受験者が採用で有利になるように、加点する制度もある。「英語力のある人を評価し、英語の教科化に備える」と担当者は狙いを説明する。

 岐阜県も昨年度から、一定の英語力のある人を対象に小学校英語教諭の専門枠を設けた。各学校の判断で授業をしてもらう。滋賀県は本年度から、小学校教員の全受験者に、二次選考の指導実技の中で、英語での簡単な会話力を見る質問をする。

 三重県のように、小学校教員の試験で英語の資格の条件を満たす人に加点する仕組みは、愛知、福井の各県などが採用。静岡県は本年度、加点の条件を緩め、対象を広げた。

 (佐橋大)

 

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