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教育

世界視野に教育課程導入 国際バカロレア、増える認定校

英語でやりとりし、化学の実験をする生徒たち=名古屋市昭和区の名古屋国際高で

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 世界の大学入学資格「国際バカロレア資格」を取得できる十六〜十九歳向けの教育課程「ディプロマプログラム(DP)」を実施したり、実施を目指したりする高校が全国で増えている。DPの認定を受けた学校は全国で三十三校。外国語での授業が多く、思考力を高める教育内容が特徴だ。グローバルに活躍する人材が育つと期待が高まっている。

 六月下旬、名古屋市昭和区の名古屋国際高校の理科実験室で、DPを履修する三年生九人が「Chemistry(化学)」の実験に取り組んでいた。説明はすべて英語。実験では、硫化水素や水酸化ナトリウムなどを混ぜて中和すると、物質や温度がどう変化するかを確認する。生徒たちは、混ぜる量などを自分で考えて実験をしていた。

 DPは、言語と文学(母語)、言語習得(外国語)、数学、理科、芸術、「個人と社会」の六グループの科目の履修が義務で、授業の内容は、各学校が実情に合わせて決められる。二年と三年の二年間で勉強する同校は、芸術として学ぶ音楽では、合奏に加え、異なる分野の音楽を比較分析し、英語で論文を書く課題も課される。知識の本質を考え、論理的な思考力を育む「知の理論」の授業を百時間以上受け、生徒が自ら調査、研究し、まとめる「課題論文」の提出なども求められる。「英語を介して、深く考え、探究することを重視したカリキュラム」と小林格校長は説明する。

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 DPを履修する国際教養科三年の石黒恵佑君は「小学生のころ通っていた米国の現地校では、教師と生徒が積極的にコミュニケーションを取って進む授業だった。それに近い」と話す。同校は二〇一五年度にDPを導入。入学前にDPを希望した生徒の中から語学力などを基準に選んだ各学年で一割前後の生徒が、DPで学んでいる。

 中部地方の高校では他に、加藤学園暁秀高校(静岡県沼津市)が〇二年にDPを導入。インターナショナルスクールでは、名古屋国際学園(名古屋市)が〇八年に、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(長野県軽井沢町)が一五年に認定を受けている。

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 文部科学省によると、高校でのDP実施は、英語で数学などを教えられる教員が少ないことや、国内の学習指導要領とDPのカリキュラムの両立の難しさが課題になっていた。

 対策として、同省は、日本語の使用を大幅に拡大する「日本語DP」を、国際バカロレアを管理する国際バカロレア機構(本部・ジュネーブ)と協力して開発、一五年度に導入した。DPでは国語以外は原則、外国語で授業をするが、日本語DPでは、六グループのうち二グループの授業を英語ですればよい。東京学芸大付属国際中等教育学校(東京)など九校が日本語DPで認定を受けている。

 滋賀県長浜市の県立虎姫高校は三月に、DPの候補校になり認定手続き中だ。一八年度中の「日本語DP」での認定を目指す。同校の担当者は「認定を視野に、生徒が主体的に考え、思考力を高める授業改善をしている。バカロレアが目指すものは、国の教育改革の方向性と重なっている。改善は生徒たちにプラスになると考える」と話す。

 岐阜県は、学校を特定せず、県立高校へのDP導入の可能性を検討している。

◆入試に活用する大学も

 DPのカリキュラムを学び、年二回の試験に合格した生徒は、国際バカロレア資格を得られる。資格をどう入学者選抜に用いるかは、国や大学によって異なる。試験のスコア(点数)が入学者選抜の基準に使われたり、入試の一部が免除になったりする。何らかの活用をしている大学は、米国・ハーバード大やマサチューセッツ工科大なども含め世界七十カ国・地域以上の二千以上にのぼる。

 日本でも、資格や試験のスコアを考慮し、入学の可否を決める大学が増えている。文科省のまとめでは昨年度までに、三十七の大学が資格を活用した入試を実施した。東北大、筑波大、愛知医科大などは資格取得者に限った入試を実施。名古屋大などは、推薦入試の任意提出書類として、スコアを挙げる。

 来年四月の入学者向けの入試からは、北海道大が「国際総合入試」に、豊橋技術科学大はAO入試の出願資格の一つに資格を採用し、スコアを合否の判断材料の一つとする。豊橋技術科学大の担当者は「多様な観点から評価し、優秀な学生に来てもらいたい」と狙いを説明する。

 (佐橋大)

 <国際バカロレア(IB)認定校> 国際バカロレア機構が、同機構の提供する教育プログラムの実施を認めた学校。バカロレアはフランス語で大学入学資格の意味。国際的に通用する資格を設けインターナショナルスクールの卒業生に大学進学の道筋を確保しようと、1968年に開始。現在、140以上の国・地域に約4800校ある。

 対象は大学入学資格以外に広がり、プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP、3〜12歳向け)、ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP、11〜16歳向け)、16〜19歳のキャリア関連プログラム(CP)がある。PYP、MYPは外国語で授業をしなくてもよい。国内にはPYP22校、MYP14校、DP33校がある。政府はグローバル時代に対応し、2020年度までに認定校と、認定手続き中の候補校を計200校以上とする目標を立てている。

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