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教育

世界につながるAPU 学生の半数 海外から

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 グローバル時代に存在感を増す大学が大分県別府市にある。立命館アジア太平洋大(APU)だ。海外からの留学生が学生の半分を占める。国際色豊かな環境で学ぼうと、別府に「国内留学」する東海地方の出身者も少なくない。受験生に代わって聞いた。−先輩、APUって何が良いの?

 十四日夜、別府市郊外の山の中腹にあるAPUキャンパスのホール。十日に始まった「タイウイーク」を締めくくる、タイの精霊信仰にまつわる民話を基にした全編英語の創作劇が上演された。

 演じたのはタイ人の留学生や日本人学生ら約百人。インドネシアやベトナムなど、東南アジアの国々をテーマに留学生が自主開催する学内イベントの一つで、週替わりで母国の文化や伝統を紹介している。

 授業、留学、寮生活−。APUはあらゆるところで世界に触れる機会がある。創作劇も学生は国籍に関係なく参加できる。二回生の浅井良介さん(20)=東海高校出身=はゾンビの格好でダンスを披露。「自分が少しでも動けば、世界につながるチャンスや可能性があちこちに転がっている」と話す。

 APUは、大分県と別府市から土地や施設建設費の補助を受けた学校法人立命館(京都市)が二〇〇〇年に開学。学生は半数が外国人留学生。アジア太平洋学部と国際経営学部の全二学部で、中国や韓国、東南アジアを中心に八十六カ国二千九百四十七人が学ぶ。このうち98%が日本人学生と同じようにAPUの学部の卒業を目指しており、この規模で四年間在学するのは世界的にみても珍しいという。

 教員も外国籍が50・3%を占め、授業は日本と英語が入り交じる。授業の九割が英語と日本語の両方で開講され、語学力に応じて受けられる。英語のディベート力も磨き、発音も細かくチェックする。

 国内の大学とは異なる教育について、近藤祐一入学部長(59)は「半分は海外の学生のため、世界水準で授業をしないといけない」と質の向上を課題に挙げる。シンガポールやタイのトップクラスの大学が目標だ。大学は二〇一四年、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業」(グローバルけん引型)に選ばれ、二三年までにその資金を基に教員一人当たり二百万円を投じ、先進的な教え方を学んでもらう。

 国際的な環境で語学力や異文化理解力を伸ばそうと、入学する日本人学生は多い。東海四県からは、日本人学生約三千人のうち5・4%の約百五十人が進学している。四回生の安藤絢音さん(22)=麗澤瑞浪高校出身=は「海外にいるより国際的。ここまでいろんな国の人が集まる大学はほかにない」と満足げだ。

 そんな国際交流に磨きをかける場が、キャンパス棟からも程近い国際学生寮「APハウス」だ。個室と二人用のシェアルームで約千百人が共同生活を送る。

 「共同のキッチンも文化を学べる場です」と話すのが、レジデントアシスタント(RA)と呼ばれる学生スタッフの二回生、浅田万葉さん(19)=暁高校出身。留学して間がなく日本の文化や生活習慣をよく知らない一回生に、ごみの分別や入浴の方法を教える。一方で、イスラム圏の学生からハラル料理は食器まで分けて使うと教わることも。こうした交流から英語の発音も学ぶ。日常のささいな学び合いが学生の絆を深めている。

◆国際学生寮 各大学で建設

 近年、各大学がこぞって、日本人学生と外国人留学生が共に生活する国際学生寮の建設を進めている。少子化時代に優秀な留学生を獲得するほか、内向きな日本人学生にも異文化に親しんでもらう狙いがある。

 APUを含め国際化に向けて協力関係のある5大学(グローバル5=G5)では、上智大が東京都世田谷区に、早稲田大が同中野区にそれぞれ開設し、ことしに入り国際基督教大が同三鷹市に新たに設置。ほか、慶応大日吉キャンパス(横浜市)、帝京大(東京都府中市)などにもでき、国立大は筑波大(茨城県つくば市)と金沢大(金沢市)で3月に完成。愛知県内では、豊田工業大(名古屋市天白区)と豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)が今春から供用開始し、名古屋工業大(名古屋市昭和区)は来春の開設予定で建設中だ。

 政府は16年度で24万人の留学生を、20年に30万人にする目標を掲げている。

 (美細津仁志)

 

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