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教育

LGBT、どう接する? 教員、当事者ら招き研修

LGBTの当事者から話を聞く教員たち=愛知県新城市の市勤労青少年ホームで

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 教育現場で、LGBTなどの性的少数者と向き合う動きが広がっている。教員が研修を受けたり、家庭科の授業に当事者や支援者を招いたり。子どもが当事者だったら教員やクラスメートはどう接するのか、自身に引き寄せて考え始めた。

 周囲の否定的な反応から、自分に対してマイナスの感情を持ち自殺も考えた−。

 当事者の話に、教員六十人ほどが真剣に聞き入っていた。五月中旬、愛知県新城市の市勤労青少年ホームで、市内の教員でつくる新城市教員組合の女性部会などが開いた学習会「LGBTsの子どもへの対応 これからの学校現場に求められること」。

 「本来、知っておかなければならないことですが、なかなか学ぶ場がない」と、組合の養護部長で作手中学校の養護教諭、安川友里子さんは話す。

 NPO法人ASTA(名古屋市)が、組合の依頼を受け協力した。当事者、家族、支援者によるLGBTの啓発団体だ。この日は当事者六人が経験などを語った。

 教員の関心が高いと思われること、性的少数者の児童、生徒のいる可能性はどの学校にもあること、正しい知識を持っていないと適切に対応できず子どもたちの心を傷つける可能性があること−から、テーマを選んだ。保健の授業で、思春期の異性への感情の変化について説明する際に性的少数者への配慮をしてほしいとの当事者の訴えに「うんうん」とうなずく教師もいた。

 「普段何げなく使っている言葉で、知らぬ間に傷つけてしまっていることがあると知り、とても怖くなった。どの子にも配慮した対応を考えたい」「相談しやすい環境を整えたい」「行儀の悪いことをしている子に『女の子なのに』と何げなく言っていたことに気づき反省した」といった感想が教師側から寄せられた。

 授業での取り組みもある。六月、ASTAのメンバーは、同県岡崎市の愛知教育大付属岡崎中学校を訪ね、家庭科の授業に参加した。

 三年生の「誰もが人格を尊重し合う共生社会を考える授業」の一環だ。「家族・家庭についての発展的な学習です。性的少数者の人々の暮らしを切り口にして、暮らしの中にある性別、に目を向け、自分らしく生きる価値を子ども自身で見いだせたら」と武藤良子教諭は狙いを説明する。

 生徒は当事者らの話を聞いた四日後、「LGBTの生きづらさの原因は何か?」「どうしたら解消できるか」をテーマに話し合った。「社会の偏見や法制度の不備などが生きづらさの原因」との指摘があった。同性婚を認めない法制度が、性的少数者を「不可視化している」として、法整備が必要との意見や、まずは偏見の除去が必要といった意見も出た。

 ASTAの久保勝・共同代表理事は「性的少数者への偏見を改める上で、教育の場が果たす役割は大きい。性だけの問題と捉えず、あらゆるマイノリティーへの理解を深める機会と捉えてほしい」と話す。

 (佐橋大)

◆中学教員向けに教材キット

ReBitが作ったキット。見た目の思い込みで性別を決めていないか考え直すワークシートも

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 教材の提供で教育現場を後押しする動きもある。NPO法人ReBit(リビット)(東京)は、中学校の教員向け教材キット「アライ先生キット」の提供を3月末から始めた。アライは理解者、支援者の意味。

 キットは、性の多様性や支援の仕方についての基礎知識をまとめたガイドブック、教材、指導案など。授業で使える15分の映像教材には、当事者の若者が、うれしかった周囲の対応などについて語るインタビューを収録。その映像などを使って、価値観の多様性を尊重し理解する道徳の授業を提案している。

 中学の教員には無料で、それ以外には有料で提供。同法人のホームページから申し込める。これまでに約200のキットを送ったという。

 同法人は昨年、生徒や教員向けに160件の出張授業や研修を実施した。教育事業部の三戸花菜子マネジャーは「この数年、性的少数者への教育現場の意識は変化していると感じる」と話す。

 <LGBT> レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(体と心の性が一致しない人)の頭文字をとった総称。性的少数者は他に、性愛や性欲を感じない「アセクシュアル」の人なども含む、さらに広い概念。

 

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