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教育

<変革2020> 小学校のプログラミング教育

プログラミングソフト「Scratch(スクラッチ)」の指示を組み替える児童=滋賀県草津市の志津南小で

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 小中学校などの学習内容の基準、学習指導要領が変わり、二〇二〇年度から順次実施される。変更点の一つが、小学校でのプログラミング教育の必修化だ。情報技術が隅々まで行き渡った社会に対応し、コンピューターによる問題の発見、解決ができるよう「論理的思考力の育成」を目指すという。小学校の先行例をのぞいてみた。

 「雪遊びゲームを、つくって、ためして、つくりかえよう」。二月下旬、滋賀県草津市の志津南小のコンピューター室では、金谷充敏教諭の児童への呼び掛けで、四年生のプログラミングの授業が始まった。

 児童らのパソコンの画面には、白クマなどのキャラクターが映し出されている。画面上の旗をクリックすると、キャラクターが動いたり、動く雪の結晶が当たると、白クマの大きさが大きくなったり。それぞれ、子どもたちが、無料のプログラミングソフト「Scratch(スクラッチ)」で自作したゲームだ。

 児童らは、キャラクターの動きが変化するたび歓声を上げていた。「動かないよ」「ここを変えたらいいじゃない」と互いに教え合う姿も。ここに至るまで、総合的な学習の時間の約十こまを使った。金谷教諭は「初めての経験で、子どもたちと一緒に考えながら進めている。うまくいかない理由を考え、課題を解決する力が身に付けば」と話す。

 二年生の教室では、ロボットの動きをタブレット端末で操作。いずれも、コンピューターに親しむ内容だ。昨年の文部科学省の有識者会議のまとめでは、コンピューターの体験を通して、まずは問題解決に必要な手順があることを知り、最終的に高校の段階では実際に解決に活用できる知識や技能を身に付けることが、学校教育が目指すプログラミング教育だとしている。

 同市は本年度、一億九千万円の予算を「教育情報化推進費」に充てている。小中学校の児童、生徒三人に一台以上のタブレット端末を整備。昨年度は志津南小など二校が、文科省の情報教育推進校に選ばれた。その予算二百五十万円で、教員向けの研修を充実させ、プログラミングを学ぶためのロボット教材も借りた。志津南小は、ソフトの使い方や教え方、狙いについて約十回、教員向けの研修会を開いた。

プログラミング学習用のロボットが、自作のプログラミングで動くか試す児童たち=滋賀県草津市の志津南小で

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 二月の研修会では、鳴門教育大の藤村裕一准教授が「目的は、IT人材の育成ではなく、論理的思考力の育成。順序立てて考え、課題を見つけて、問題点を修正する力だ」と講演。多くの教員が教えることへの不安があると挙手したのに対し「プログラミング教育の要素は、これまでも実践している。特別なことをするわけではない」と助言した。

 講演後、教員からは「準備は大変だが、プログラミング教育の手法を使い、思考過程を可視化するとか、授業の構造を明確にするといったことを、より意識するようになった」といった声が聞かれた。

◆経験少なく、教員らの不安増

 文部科学省は次期学習指導要領で、「プログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」を小学校で行うよう求めている。

 学年は特定せず、各教科の特質に応じて実施するよう明記。プログラミングソフトを使い、算数の正多角形を作図することや、理科で電気の性質や働きを学ぶ際に、プログラミングの体験を交えることなどを事例に挙げた。

 文科省の担当者は「あくまで例示。どの時間・単元でもいいし、『何時間やらなければならない』というものでもない」と各学校が実情に合わせて行えば良いとする。

 現在、各教科の学習と関連するプログラミング学習ソフトは少ないが「今後、民間企業が、多くのソフトを開発することを期待している」という。

 一方、プログラミングを学び、教えた経験を持つ教員は少なく、教員の不安は根強い。

 藤村准教授は「文科省の説明では具体的に、どういう思考力が育ち、それが何に役立つのかが、現場の先生に見えてこない。そのため、不安が大きくなっている。文科省は効果も含めて十分に示すべきだ」と指摘。同時に、「現場の取り組みが増えていけば、これから始める学校にとって参考になる」とし、実践の蓄積に期待する。

 (佐橋大)

 

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