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教育

<変革2020> 次期指導要領案を先取り

身ぶりも交え英語で授業する近藤敦子教諭=福井県勝山市の勝山中部中で

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◆中学で「英語オンリー授業」

 学校で教える内容の基準となる学習指導要領の改定案が今月発表され、中学校では二〇二一年度から、英語の授業を原則、すべて英語で教えることになる。教員が対応できるかという課題が見込まれる中、自治体ぐるみで向き合い中学英語を先取りする授業が始まっている。

 福井県勝山市の勝山中部中学校一年二組の英語の授業。目標は、前に習った「過去形」を使うことだ。

 近藤敦子教諭は写真を見せながら、どんな学校行事があるか英語で生徒たちに聞いた。「sports day(体育祭)」「chorus contest(合唱コンクール)」と答える生徒たち。行事の一つの宿泊体験学習で何をしたのか、英語で質問が続く。「What did you do?」「We made curry and rice.(カレーを作った)」。生徒も英語で答える。自然に過去形の英文を話す仕掛けだ。

 近藤教諭は、一番思い出に残った出来事は何かと聞き、そのときの気持ちを英文で書くよう指示した。生徒たちは書き終えると、近藤教諭とALTのハンケ・カイルさんが示した見本や書いた文を基に、英語で話す練習を生徒同士でした。文法を誤った生徒には、個別に指導したり、全体に注意を促したり。説明には、まだ習っていない単語も入るが、近藤教諭は、身ぶりを交え、生徒が推測できるよう工夫している。「新しい概念の説明も原則、英語でする。理解しやすいと判断すれば、日本語も交えます」と話す。

 勝山市は、市内にある小中高を挙げて英語の授業改善に取り組んでいる。一五年度の文部科学省の調査で、授業の半分以上を英語で話す英語教員は全国では54〜58%だが、勝山市では100%。一四年度の同省の調査で、「英語が好き」「どちらかと言えば好き」と答えた中二の生徒は、全国の50%に対し、勝山市では80%に上る。

英語でコミュニケーションをする生徒たち=愛知県岡崎市の新香山中で

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 愛知県岡崎市も英語教育に力を入れている。小学一年から外国語活動の時間を設け、中学校では、英語の授業のうち、年約二十こまを「グローバル・コミュニケーション・タイム(GCT)」という英語でのコミュニケーションの時間に充てている。話すのは原則英語。生徒が興味を持つ話題を設定する。習った文法や単語を使い、考えなどを英語で伝えられるようにするのが目標だ。文法や単語を定着させる効果も期待している。

 新香山中学校の三年二組で一月にあったGCT。手相を切り口に、お互いの将来を話す課題などに取り組んだ。「You will live very long time!」などと話す生徒たちは楽しそう。表現を教え合う生徒もいた。矢沢敬介教諭とALTのダミアン・エスカリエさんも助言して回る。授業後、生徒たちは「伝えられると楽しい」「文法も意識している」などと話した。

◆「対話的な活動」を重視

 次期学習指導要領案では、英語は小学五年から教科として始まる。現行の小学五、六年の「外国語活動」は小学三、四年に前倒しになる。中学で学ぶ内容は、より高度になる。中学の英語は英語で授業をするのを基本とし、互いの考えや気持ちを外国語で伝え合う「対話的な活動」を重視するという。

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 上智大言語教育研究センターの吉田研作・特別招聘(しょうへい)教授によると、高校ではコミュニケーション活動を重視した方が英語の成績が上がり、英語を英語で教える教員の割合が高いほど、生徒の英語力が上がる研究結果が出ている。「今回の改定は、こうした研究成果が元になっている」という。

 吉田教授は「語彙(ごい)や文法が不十分でも、英語に前向きになれる子を増やすのが、今回の改定の目指すところ。英語で通じたという体験の積み重ねが、学びへの動機づけになる。表現の中で文法や語彙を身につける。英語で表現したいと思える場面設定をするなどの工夫が求められる」と話す。

 (佐橋大)

 <中学生の英語力> 文部科学省は、中学卒業時に英検3級程度以上の英語力を持つ生徒を、2017年度に50%にする目標を立てているが、15年度で37%にとどまっている。中学での英語の授業は週4こまで、11年度以前の3こまから増えている。

 

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