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「役に立てる」自分を実感 小学生との交流で中学生ら

小学生の質問に笑顔で答える中学生=名古屋市東区の愛知教育大付属名古屋中学校で

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 小学生から中高校生へと学年が上がるほど、子どもが自分を価値ある存在だととらえる気持ちが失われていく傾向が、調査から明らかになっている。大事な「自尊感情」をなくさないようにと、小中で連携して取り組む愛知教育大付属名古屋中学校を訪ねた。

 十一月、名古屋市東区の愛教大付属名古屋中学校で、生徒二十三人が、隣の愛教大付属名古屋小学校の児童三十六人と和やかに話していた。どちらも、学校内の保健委員会に属する児童と生徒。中学生活に感じる不安を尋ねられ、「宿題は多い?」「授業はどんな感じですか?」「平均身長は?」と質問する小学生。中学生の回答に、身を乗り出して聞く場面も。中学の保健委員会は、小学生の質問をヒントに「安心して中学校入学を迎えるためのプロモーションビデオ」を作り、年明けに小学校に贈る予定だ。

 中学生は「真剣に聞いてくれて楽しかった。小学生の役に立ちたい」「前の私と悩みは同じだと思ったら安心したし、うれしかった」などと感想を寄せた。小学生も「自分たちも役立ちたい」と、愛教大付属幼稚園の園児に、紙芝居を作って読んであげたいとの声を上げている。

 活動は昨年から、保健委員会を中心に開始。「心の健康を保つのに役立てば」と、付属中の森慶恵・養護教諭が発案した。昨年度は「教えて先輩!」と題し、二百通近い中学生の返事が小学校の廊下などに掲示された。「小学生は不安を解消できる。中学生は小学生の質問に答えることで、日ごろ意識しない自身の成長を実感できる。経験を通じて自分が役立つんだという自己有用感を持てる」と森養護教諭は説明する。

     ◇

 「自分は役立つ」とか「大切な存在」と思うことは、心の健康に大切な感覚だ。しかし、人のつながりが希薄な今日、子どもの成長過程で薄れがちという。

 自分を価値ある存在ととらえる気持ち「自尊感情」の傾向を把握するため、東京都が二〇〇八年に都内の小学生−高校生を対象にした調査では、自尊感情の強さを示す数値は、学年が上がるほど低くなる傾向にあった。特に、小学六年から中学一年になるときの低下が目立った。都の報告書は「自分の役割を自覚することについて、小学六年と中学一年の間に指導上の配慮が必要」と指摘している。

 森養護教諭は「以前であれば、世代の違う人同士の交流の中で自分の成長を感じられたが、今はそういう機会が少ない」と指摘。「防犯上の理由からマンションの住民同士のあいさつを禁止するニュースが聞かれる現代こそ、学校という場を生かして子どもたちがつながる機会をつくることが、子どもの心の健康に必要では」と訴える。

 (佐橋大)

 

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