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クルマ革命

CO2減、エンジンで進む 次世代エコカーの挑戦

マツダが東京モーターショーに出展した次世代エンジン「スカイアクティブ・エックス」=東京都江東区で

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 欧州や中国などで電気自動車(EV)へのシフトが注目を浴びる中、内燃機関(エンジン)の開発を強化する自動車メーカーがある。その筆頭格のマツダは、燃費性能を大幅に向上させて排ガス量を少なくした次世代ガソリンエンジンを開発し、二〇一九年の市場投入を目指す。“逆風のエンジン”にこだわる理由とは−。

 「内燃機関を活用して極限まで二酸化炭素(CO2)を削減することが私たちに求められている」

 八月上旬、東京都内で開かれたマツダの次世代ガソリンエンジン「スカイアクティブ・エックス」の発表会で小飼雅道社長は力を込めた。実物は、今月五日まで開かれた東京モーターショーに展示され、多くの来場者の関心を集めた。

 新エンジンは、ピストンの高圧力を利用しガソリンと空気の混合気に自分で着火させる「圧縮着火」という燃焼方式を世界で初めてガソリンで実用化した。高い圧力で自然着火させるディーゼルエンジンの原理を応用した独自の燃焼制御技術で、ガソリン濃度の低い混合気でも動く。つまり使うガソリンの量が減らせるから効率がいい。マツダは、燃費性能を現行エンジンより最大30%程度高められると説明する。

 エンジンへのこだわりは「ウェル・トゥ・ホイール(油井から車輪まで)」という考え方に基づく。

 走行中にCO2を全く出さないEVは環境に優しいイメージがあるが、発電する際にはCO2が発生する。マツダの試算によると、燃料採掘から実際に車が走るまでのCO2排出量は、火力発電の割合が発電の九割弱を占める日本の場合、EVでも低燃費エンジン車より、二割ほど少ないだけだ。

 再生可能エネルギーによる発電量が増えればEVの環境性能は高まるが、充電設備の不足や充電時間の長さに課題を持つEVが本格普及するには、あと数十年かかるとみられている。小飼社長は「今後も長期間、大多数を占めると予想される内燃機関を効率化することが実質的なCO2削減効果を高める」と主張する。

 産官学の連携による効率化も進む。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で、トヨタ自動車や日産自動車など国内自動車メーカー九社と全国の大学が、エンジンの熱効率を飛躍的に伸ばす共同研究を始めた。

 熱効率とは、燃料のエネルギーをどれだけ動力に転換できるかを示す数値で、高いほど燃費性能が良い。現在は40%程度だが、二〇二〇年までに50%以上を目指す。これは燃費の三割アップに相当する。

 エンジンの効率化は、モーターと組み合わせて走るハイブリッド車の低燃費化にもつながる。SIPの研究メンバーである早稲田大の大聖泰弘名誉教授は「内燃機関は、まだまだ成長できる余地があり、日本が先陣を切って研究を進めていく」と話している。

 (岸本拓也)

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