挑む 浮世絵 国芳から芳年へ
2019年2月23日〜4月7日
名古屋市博物館
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クルマ革命CO2ゼロ車 道路が給電
小さな電気自動車(EV)が、時速十キロ程度でゆっくり動く。豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)の実験施設。しかしこの車、電池を積んでいない。動力源は道路から受け取る電気だ。 架線から電気を取り入れて走る電車のように常時、地中の鉄板から電気を取り入れる。鉄板には直接触れないが、タイヤに埋め込まれた補強材の鋼線がパンタグラフの代わりをする。 研究を主導する同大教授の大平孝(62)は「こうすれば航続距離や充電時間を気にせず、長距離を移動できる」と話す。現在はまだ低速。設置コストや雨天時の安全性など課題も多いが、将来は高速道路に電極を埋め込み、走りながら充電できるEVの姿を夢見る。 世界は今、自動車の動力源をエンジンからモーターに変える「EVシフト」にかじを切りつつある。背景に、二〇一六年発効した地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」がある。 地球の気温上昇を、十八世紀に英国で始まった産業革命前と比べ「二度未満」に抑える目標を達成するには、今世紀の後半に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしなければならない。その主因である二酸化炭素(CO2)を減らそうと、走行中にCO2を全く出さない「ゼロエミッション車」への期待が高まっている。 トヨタ自動車などが力を入れる、水素で走る燃料電池車(FCV)もCO2を一切出さず、環境への貢献度が大きいが、開発の技術的ハードルが高く、水素供給インフラにも課題がある。現状ではEVが優勢だ。 各国は、EV普及に向けエンジン車の規制を強める。ただ、EVの普及も容易ではない。特に一回の充電で走れる距離の短さと充電時間の長さはユーザーの利便性を大きく損なう。 豊橋技科大が実用化を目指す走行中のEVに給電できるシステムは、こうしたEVの弱点を補う挑戦。トヨタも短時間充電でより長く走ることができる「全固体電池」に取り組む。幹部は「二二年以降の実用化に向けて開発を急ぐ」と話す。 車を動かす電気をどうやって生み出すかもCO2削減効果を大きく左右する。 中国や日本といった火力発電に依存する国では、そもそも発電時にCO2が出る。このため、発電から走行までの全体でみると、EVとエンジンを使うハイブリッド車のCO2排出量は実は大きく変わらない。 本当に地球環境にやさしいエコカーは何か。メーカーの模索が続いている。(敬称略) PR情報
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