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クルマ革命

変わる販売 「日本式」海外で商機

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 人口減や都市部での車離れで、国内の自動車関連市場が縮小する中、販売店が海外に進出して事業を展開する動きが本格化している。世界に広く行き渡った日本車の厚みが、販売やアフターサービスで新たな商機を生み出している。

 二〇一二年秋、ミャンマーの最大都市ヤンゴン。道路を行き交う大量の日本車に、浜松市で自動車整備と販売を手掛ける坂井モーターの坂井光蔵社長(63)は目を見張った。「ここにビジネスチャンスがある」

 一九四八年創業の同社はトラック整備から出発。九三年に車検チェーン「コバック」(愛知県豊田市)と組み、静岡県内の五店舗で車検を実施している。軽自動車販売店も展開する。

 一七年四月期の売上高は前期比約10%増の二十億円と順調だが、国内市場の先細りは避けられない。「どうすれば従業員の生活を守れるか」。知人の誘いで訪れたミャンマーに、将来への活路を見いだした。

 軍事政権からの民政移管に伴う規制緩和で増えた日本の中古車。車両整備の需要を見込み一五年に合弁会社を設立。日本人所長と現地採用の十数人が「日本式」点検に力を入れる。エンジンやブレーキ、バッテリーなどをまとめて調べる二万チャット(二千円弱)のパックが売り物だ。

 「現地では車が壊れてから工場に持ってくる例が多い。未然に故障を防いだ方が長く使えると呼び掛け、定期点検の習慣を広めたい」と坂井社長。現在は赤字だが、客数は伸び、年内の単月黒字達成を目指す。

ヤンゴン市街地の地図を指しながら、事業を説明する坂井光蔵社長=浜松市の坂井モーターで

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 ミャンマー政府は今年一月から中古車輸入を規制し、国内で新車の生産と販売を増やす政策に転換。「新車保有台数が伸びれば、良質な整備を求める顧客も増える」。追い風を感じている。

 日産自動車とホンダの車などを扱う自動車販売大手VTホールディングス(名古屋市)は一一年以降、南アフリカ、英国、スペイン、オーストラリアで、主に日本車を手掛けるディーラーを中心に七社を買収。一七年三月期連結決算では、千六百九十五億円の売り上げの三分の一程度を海外が占めるまでになった。

 二十代で起業し、従業員三千七百人のグループをつくり上げた高橋一穂社長(64)は五月の決算説明会で、日本国内では「(買収などで)店が増えなければ、販売台数が増える余地はない」と指摘。車購入に合わせてカー用品をたくさん買ってもらうなどの努力で同社の売上高営業利益率は4%。同業他社の1%程度より格段に高いが「やり尽くした感がある。伸ばすのは相当難しい」とみる。国内で感じる成長の限界が、海外進出へと駆り立てている。

 <自動車販売会社の海外進出> 1980年代に先進的な販売店経営を学ぶ狙いで米国やカナダの販売店を買収する動きがあった。90年代には事業拡大のため、タイやベトナムなどアジアに進出する動きが活発化。ただし、業界では「地域に根差して商売する」との意識が伝統的に強く、90年代以降に生産・販売両面で急速にグローバル化した自動車メーカーほどには国際化が進んでいない。

 (西山輝一、宮本隆彦)

 

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