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クルマ革命

電気自動車時代は目前

国内初の量産EVスポーツカー「トミーカイラZZ」を見つめるGLMの小間裕康社長=京都市伏見区で

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 世界の新車の四台に一台が売れる最大市場・中国。開催中の「上海モーターショー」で、大手メーカーがこぞって出展したのは電気自動車(EV)だった。中国シェアのトップを走る独フォルクスワーゲン(VW)は試作車「IDクロス」を初公開。航続距離を五百キロまで伸ばした最先端の自信作を前に、幹部は胸を張って言い切った。

 「この車が、私たちのブランドの未来を明確に示している」

 開発競争が過熱する次世代エコカーで、EVの存在感が増している。高級車メルセデス・ベンツを持つ独ダイムラー社は今年、専門ブランド「EQ」を立ち上げた。トヨタ自動車は昨年末、社長直轄の開発部署を設置した。ホンダも「特急で開発している」と幹部。EV専門の米新興メーカー、テスラは今月、株式の時価総額で米国自動車業界の首位に立ち、今後の市場拡大を予感させる。

 背景には、世界規模で急速に進む環境規制の強化がある。大気汚染が深刻な中国では、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)を「新エネルギー車」と位置付け、二〇一八年から一定割合の販売を義務付ける。米国では規制先進地のカリフォルニア州で、電気とガソリンエンジンを併用するハイブリッド車(HV)が一八年からエコカーの定義から外される。

 米国系コンサルティング会社によると、地球温暖化を防ぐには、五〇年に世界で販売する新車の九割近くを、走行中に二酸化炭素を出さないEVか燃料電池車(FCV)にする必要があるという。

 しかし、トヨタが注力し「究極のエコカー」とされるFCVは、技術が高度で、他のメーカーは追従しにくい。燃料の水素の供給体制も不十分だ。

 一方のEVは、モーターなど動力部の開発が比較的に容易。これまでは航続距離に直結する蓄電池の容量とコストの高さが課題だったが、異業種の参入で性能が向上し、大量生産でコスト減も期待できる。業界は今、「EVなしでは戦えない」(トヨタ幹部)という時代の入り口に立つ。

 昨秋のパリのモーターショーで、一台の日本製のEVが注目を浴びた。一〇年設立のベンチャー企業「GLM」(京都市)が手掛けた五四〇馬力のスーパーカー「G4」。同社が開発した国内初の量産EVスポーツカー「トミーカイラZZ」に続く新作だ。

 GLMは、蓄電池やモーターを協力会社と共同開発する一方、制御装置などに集中投資し、開発コストを抑えた。こうした分業が可能になり、ベンチャーが参入できることもEVの特徴。社長の小間(こま)裕康(39)は「新たな自動車産業を創りたい」と意欲を語る。

 一方、車体からエンジンが“消える”ことで、車一台当たりの部品の数は三万から二万に減るといわれ、中小部品メーカーの死活に関わる。それは同時に、完成車メーカーを頂点に製造ノウハウを系列内で抱える「垂直統合」で発展してきた業界のピラミッドを大きく揺さぶることを意味する。

 (文中敬称略)

◆GLMの「トミーカイラZZ」が走る動画を見ることができます

https://www.youtube.com/watch?v=yWffnNRCKRw

 

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