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クルマ革命

概念変えるITの巨人

街中を走り回るグーグルの自動運転車。小さな車体に世界の注目が集まる=1月12日、米シリコンバレーで(岸本拓也撮影)

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 米サンフランシスコ南部シリコンバレー。IT企業が集積する街で一月、パソコンのマウスのような形をした一台のクルマを追った。米IT企業大手グーグルが公道でテストする自動運転の試作車だ。

 人工知能(AI)がセンサーや地図の情報を基に、自ら状況を判断する完全な自動運転車。運転席の男性はハンドルを握らず、アイスコーヒーを飲んでいた。だが「曲がる」「止まる」は無論、車線変更も実に滑らか。道路の右脇を走る自転車を追い越す時は、すーっと左に寄って安全な距離を取った。

 「近所で最新技術に挑戦しているのはすごい。早く乗りたい」。地元の金融業マイケル・ファボツィ(50)は完成を待ち望む。

 株式時価が総額六十五兆円と、トヨタ自動車の三倍に上るグーグル。「ITの巨人」が自動運転の開発を始めたのは八年前だ。AIや情報処理の進化で開発は加速し、現在、米国内四カ所で約六十台が公道テストを繰り返す。走破距離は実に地球百周分に当たる四百万キロ。試乗した日系自動車メーカー幹部は「技術の完成度は高い」と舌を巻く。

 トヨタなど既存メーカーはこれまで環境や安全、燃費競争にしのぎを削る「いい車づくり」で、二百兆円規模の市場を築き上げてきた。だが、グーグル自動運転車部門を率いるジョン・クラフチック(55)は言い切る。「われわれはいいクルマではなく、『いいドライバー』を構築したい」

 車づくりの概念を変えるのは、自動運転にとどまらない。車体の不具合の予知など、ネットで車両から得られる膨大な走行情報を活用したサービスも、その一つ。「自動車が巨大なスマートフォンになる世界を創り出す」。昨年四月に新会社を設立したトヨタと米マイクロソフトは、そんなメッセージを発信した。

 車は約百三十年前に誕生し、画期的な移動手段として人々の生活スタイルや街づくりを変貌させた。自動運転の技術は再び社会の姿を変える可能性がある。

 その変革の主導権を握ろうと、IT企業に加え、電機大手も攻め入る。さらなる開発競争に向け、生き残りをかけた既存の自動車メーカーの連携・再編も急速に進む。激変する業界の風景を映し出したのは、一月に米国で開かれた世界最大の家電見本市だった。(敬称略)

◆グーグルが開発する自動運転車が街を走る動画を見ることができますhttps://www.youtube.com/watch?v=MhnH3LeA7Sw&vl=ja

 

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