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高校生・大学生

大学入試、障害ある受験生に「合理的配慮」

大学入試センター試験の英語の問題冊子。左から一般、14ポイント、22ポイントの拡大文字。障害に配慮し、フォントやレイアウトも工夫されている(大学入試センター提供)

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 二年前に障害者差別解消法が施行され、障害のある受験生への「合理的配慮」が、大学入試にも義務付けられた。二〇二〇年度の大学入試改革では、記述式の解答や考える力を問うといった要素も加わるため、新たな配慮が必要だ。先進的な事例や課題を探った。

 日本福祉大(本部・愛知県美浜町)は開学以来、最も積極的に障害のある学生を受け入れてきた大学の一つ。入試でも、文字の書きづらい受験生にパソコン入力での解答を認めたり、化学物質に過敏な人に別室を用意したりするなど個別に応じ、多様に配慮してきた。

 二年の男子学生(22)は、交通事故で脳脊髄液減少症を患い、倦怠(けんたい)感や頭痛、ふらつきがある。入試は横たわることができる別室で受け時間も延長してもらった。「個別の配慮がありがたかった。どんな障害のある受験生も行きたい大学への道が閉ざされないように、国や他大学も方法を考えてほしい」と訴えた。

 入学後の配慮も大切だ。二年の山崎雅さん(19)は右目の外側半分と左目の視力がない。「授業の資料や定期テストの文字を拡大するなど配慮してもらい助かっています」と笑顔で語る。

 大学入試センターによると、昨年度のセンター試験で障害に配慮をした人数は約二千九百人。点字の解答▽時間の延長▽別室受験▽トイレに近い部屋を準備−など従来の内容が多く、大半の私立大入試や国公立二次試験も同様という。

 日福大の柏倉秀克教授(障害者福祉論)は「合理的配慮の目的は個々人が申し出た障壁を取り除くこと。それぞれに柔軟に応じる必要があるが、多くの大学では専門的な知識や理解のある教職員の配置が十分でなく対応しづらい」と憂える。

授業の資料を個別に受け取ってパソコンで拡大して読むなど、入学後も多様な配慮を受ける山崎さん(手前)=愛知県美浜町の日本福祉大で

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 二〇年度からの大学入学共通テストでは考える力も問うため、問題にグラフや図、表などがさらに多用される。国語と数学では記述式問題も始まり、民間の英語検定試験も活用される。

 必要となる配慮を探るため、大学入試センターは対応を始めた。二、三月には、点字による記述式問題と解答の試行調査を実施。読み取った情報をメモしたり文字数を数えたりするのに時間がかかると分析した。

 九、十月には別の調査も。岐阜県立岐阜盲学校高等部一年の浅野翔太さん(16)は弱視の人に適した記述式の解答用紙の升目の大きさの検証テストに参加した。「枠内に収まるか、決められた文字数で書けるか不安。受験生によって合う大きさが選べるといい」

 筆記が困難な人のための、解答のパソコン入力の調査に協力した愛知県立小牧特別支援学校の高等部二年生(17)は「障害のある生徒の意見を取り入れるのは重要で良いこと。より便利なタブレットの使用なども考えてほしい」と話した。

 英語の民間検定試験について、柏倉教授は「民間はさらに配慮の仕方がばらつくので、高校側が主導して適切な配慮がなされているか確認すべきだ」と語った。

◆IT活用を提言 東京でシンポ

 大学入試の合理的配慮をテーマに九月に東京で開かれたシンポジウムでは、ITの活用が話題になった。

 入試の問題文の分量が増える最近の傾向に、懸念の声が相次いだ。例えば大学入試センターが、点字による受験生に試験時間を延長するのは一・五倍までだが、点字の問題文は、分量が増えるほど全体を把握するのがより難しくなる。

 同センターによると、センター試験でパソコンの利用を許可した例はこの十三年間で十七人。南谷和範・同センター研究開発部准教授は、問題文の拡大や読み上げにパソコンを使えば、読む速度に課題のある受験生の助けになると提言。読み上げ機能のある試験問題の閲覧アプリを開発しているとした。中野泰志・慶応大教授は「問題の漏えい対策が必要」と、対応したソフトを開発したと述べた。

 (佐橋大、芦原千晶)

 

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