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高校生・大学生

泥と格闘、現実を体感 「テレビで見るのとは違った」

◆名古屋市工芸高「防災チーム」が豪雨被災地でボランティア

住宅街の空き地に集められた土砂や木材=広島県呉市で

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 名古屋市工芸高校の生徒有志でつくる「防災チーム」の三年生四人が七〜十日、西日本豪雨で大きな被害を受けた広島県呉市で泥かきのボランティアに参加した。日ごろは地元でユニークな防災活動を続けるが、被災地を訪れるのは初めて。夏休みにボランティアを通して高校生が得たものは−。

 民家が土砂に埋まり、空き地に木材やプラスチックのパイプなどの「家」の一部が廃棄物になって積み上がる。呉市内で最も被害が大きく、十一人が亡くなった天応(てんのう)地区は、豪雨から一カ月が過ぎた八日もショベルカーの音が響いた。

 砂ぼこりが舞い、県内外の警察や消防の署員らが行き交う。防災チームの伊藤龍さん(18)と柴田竜さん(17)は、活動場所の山側の傾斜地にある一軒家で、黙々と泥かきに取り組んだ。床板が外され、木材がむき出しになったあちこちに、半乾きの泥がへばりつく。床下に潜り込んでスコップではがしとるが、作業はわずかしか進まない。「もっとできたらいいのに」と歯がゆさが募った。

 防災チームは、前身が東日本大震災後の二〇一二年四月に生まれた。部活でも委員会でもない自主的な活動で、メンバーは一〜三年の四十人ほど。予告なしの「いきなり防災訓練」や、地域住民の宿泊訓練などを企画運営している。

 今回参加したのは、伊藤さん、柴田さんのほか倉島龍司さん(18)、小林健介さん(17)。「南海トラフ巨大地震が起こるといわれているけど実感が湧かない」「訓練をやってても災害が起きた時はどうなるか分からない」。それぞれ消防士、土木技術者、警察官、公務員を目指している。自分たちの目で現場を見ようと、担当の五藤祐司教諭(44)から聞いた、みえ災害ボランティア支援センター(津市)が運営するボランティアツアーへの参加を決めた。

民家に流れ込んできた土砂を取り除く柴田竜さん(右)=広島県呉市で

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 「自分たちができることを勉強してくる」。七日夜、津駅前でバスに乗り込んだ。全体の参加者は四十一人。静岡や三重の高校、大学生の姿もあり学生が半数以上を占めた。八日朝、「くれ災害ボランティアセンター天応サテライト」に到着。五班に分かれ割り振られた活動場所へ向かった。

 長袖長ズボンに、安全靴や長靴姿。防塵(ぼうじん)マスクとグローブに、頭を保護する帽子、ゴム手袋も身に着けた。三〇度を超える現場では、五分も動くと汗が噴き出す。熱中症対策で、十分作業したら十分休む。一日いても、作業時間は計三時間ほどだ。

 「テレビで見るのとは違う。現実感がある」と四人。帰り際に住人の女性から「お世話になりました」、道ですれ違った住民からも「来てくれてありがとう」と声を掛けられた。「家が壊れたり、身内が亡くなったりしたのに何でこんなに明るく振る舞えるのかな」

 五藤教諭は「現地へ行ったのと行っていないのでは、人に伝える時の熱量が違う。自分たちが何をできるかを考え、行動できる力を得たと思う。これからの人生できっと役に立つ」と話す。四人の代表は九月三日、全校生徒に活動を報告する。

      ◇

 くれ災害ボランティアセンターによると、ボランティアは十四日現在、県内外から延べ二万二千二百七十六人が参加。引き続き必要で、みえ災害ボランティア支援センターは九月以降もツアーを行う。問い合わせは、同センター=電080(7846)5839

 (大沢悠)

民家の台所の床下にたまった泥をかきだす伊藤龍さん=広島県呉市で

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