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高校生・大学生

<by学生スタッフ> 9月開催「スペシャルオリンピックス・愛知」

アスリートにゴルフを教えるコーチの窪田さん(右)=名古屋市南区で

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 知的障害のある人々の四年に一度のスポーツ大会「スペシャルオリンピックス(SO)日本夏季ナショナルゲーム・愛知」。九月下旬に愛知県内で開かれるのを前に、知的障害の人々の現状やスポーツの可能性を知りたいと学生スタッフが日々の活動を取材した。大会には約千人のアスリートが参加し、十三競技の試合は無料観戦できる。その頑張る姿を見て、あなたも共に生きる社会を考えてみませんか。

 金曜の夕暮れ時、名古屋市南区の笠寺フジゴルフセンターでは、SOのアスリート四人が汗を光らせクラブを振っていた。SOは、知的障害のある人々にスポーツトレーニングと、その成果発表の場である競技会を提供している国際的なスポーツ組織だ。パラリンピックは主に身体障害者が対象だが、SOは自閉症やダウン症などの知的障害者が対象で、参加する人を「アスリート」と呼ぶ。

 コーチで会社員の窪田将文さん(62)はスポーツが好きで、SOに参加。「初めはアスリートが心を開いてくれず困ったが、根気よくコミュニケーションを続けることで、反応を返してくれた。その瞬間を思い出すと今でも涙が出る」と振り返る。「指導は簡単ではないが、まずは自分が楽しみ、アスリートの障害や気持ちを理解しようと努力している。純粋でスポンジのような吸収力を持つ彼らと、心と心でつながった時に深い感動がある。お金を払ってもできない経験だ」

 アスリートに共通するのは、スポーツが楽しく、もっとうまくなりたいという心。松本裕斗さん(21)は「ゴルフが楽しいから仕事も頑張れる。試合も出たい」と熱く語る。バスケットボールやスキーなど複数の競技を楽しむ人も多く、新実滉平さん(27)は「たくさんのコーチやアスリートと仲良くなれる」と笑顔。母親は「人と交流する楽しさを感じられる機会をつくってあげたい」と話した。

 スポーツを通じ、アスリートとコーチ、家族の信頼関係も築かれる素晴らしい取り組みだが、課題は知名度の低さやボランティア不足という。窪田さんは「同世代との交流はアスリートの刺激になる。ぜひ若い方々にSOに関わってほしい」と呼び掛けた。

 (愛知教育大二年・新海亮太、南山大二年・神田彩乃)

◆「やり切る姿は感動的」 八塚奈保子事務局長に聞く

 SO日本夏季ナショナルゲーム・愛知の八塚奈保子事務局長(60)に聞いた。

       ◇       

 元々体育教師を志していて、一九九九年からSOに参加。スポーツには可能性があり、障害の有無に関係なく、与えられた環境で自分にできることを見つけることが大切と学んできた。

八塚事務局長(中)を取材する学生スタッフ=名古屋市中村区で

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 SOはスポーツを通し、社会で生きていくためのマナーやルールを学ぶ。障害があるからルールが守れなくても仕方がない、ではない。健常者も障害者も、歩み寄るべきだと思うから。

 大会ではメダルに届かなくてもリボンがもらえる。親元を離れチームで生活するなど全てが大きな挑戦。厳しいルールの世界でスポーツをやり切る姿は感動的だ。勝ちたい気持ちも生まれ努力や目標につながる。

 大会は日常の積み重ねを披露する場。華やかで、関心のない人にも知ってもらうチャンスだ。まずは若い人に魅力を感じてほしい。スポーツで活躍する姿から、人として尊重することを学べる。知的障害の人々に対する無知による偏見を、社会に出る前に克服する機会にし、大会後も興味を持ち続けてもらいたい。

 (名古屋大四年・土井紫、椙山女学園大三年・北村菜摘)

◆コーチと一緒に成長 愛知教育大2年・新海亮太

 今回の取材で、スポーツを通してアスリートとコーチが関わる中で、共に理解し合い、成長していくのだと感じた。大切なことは、障害を知り理解して温かい気持ちで交流すること。今後の社会を担う私たちがしっかり考えていきたい。

◆共生への一つの挑戦 名古屋大4年・土井紫

 取材前、SOは障害者の支援組織だと思っていた。実際に挑戦しているのは、共に生きること。健常者中心にルールが作られている社会は、障壁にもなる。その中で、どう互いに歩み寄って生きていくか。寛容で力強くあることを学んだ。

 

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