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高校生・大学生

<スタッフが聞く> 学生時代にNPO法人設立・秋元祥治さん 

「何かを変えるにはどうしたら?」と秋元祥治さん(中)に質問する高校生スタッフたち=愛知県岡崎市で

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 「うちの地域には何もない」「学校が面白くない」などとブツブツ言っているキミ。だったら、自分の手で変えてみるのはどうだろう。高校生スタッフは、学生時代にNPO法人を設立し、地域の活性化に奔走する秋元祥治さん(38)=岐阜市=を取材。「社会を変える」ヒントをもらった。

 秋元さんが学生時代に立ち上げたのは、岐阜を拠点に活動するNPO法人「G−net」。主な事業の一つ、地域を支える中小企業と若者をつなぐ長期インターンシップの試みは全国から注目され、その名は高校で使われる一部の「政治経済」の教科書にも載っている。

 きっかけは秋元さんが二十歳の夏休みに目にした風景だ。進学先の東京から帰省すると、近所の商店街にあったはずの百貨店が取り壊され、「見えないはずの空」がぽっかりと見えた。

 周りの大人に理由を尋ねると「アーケードが古い」「役所が悪いから」と文句ばかりが返ってきた。「自分の街なのに人のせいにしてカッコ悪い」。半面、その大人たちに不満を言う自分にハッとした。頭をよぎったのは、そのころに出会った鈴木寛さん(東京大・慶応大教授)の言葉だ。

 「うだうだ言って何もしない人よりも、うだうだ言われてでも何かしている人のほうがずっと偉い」

G−netが主催する企業と学生を結ぶインターンシップフェアの様子(NPO法人「G−net」提供)

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 二〇〇一年に任意団体を立ち上げ、若者や地域を巻き込む音楽イベントを開催し、フリーペーパーの発行も始めた。各駅停車の電車や夜行バスで東京と岐阜を往復して活動を続け、〇三年にNPO法人化。本業として働くことを決意し、大学は中退した。

 「大学を辞めることに迷いは?」との質問に、秋元さんは「さすがに道を踏み外す感じがして、ビビりました。母親は『ちゃんと大学を卒業して、商社や銀行に就職して』と泣いていましたから」と苦笑した。

 後押ししたのは「自分にとって何が幸せかということ」と秋元さん。「都会の大企業で働くことが、その人にとっての絶対解とは限らない。いろいろあっていいんだよね、と思います」

 日本では二十年前、市民活動を促すNPO法(特定非営利活動推進法)が成立。今や子育て支援や環境保全などさまざまな分野で社会の課題の解決に取り組む団体数は五万を超え、NPO法人の存在感は増している。

 だが設立当初は「自己紹介しても『で、本業は何を?』と聞かれるほど仕事として認知されず、怪しく思われたこともあった」と振り返る。二年前、新卒で就職してくれたスタッフが現れた。「メジャーではないけれど働く場所としてNPOが選択肢になっている。大きな変化だと感じた」

 「地域や社会を変えるために高校生ができることは?」と尋ねるスタッフに、「どんな小さなことでもいい。今すぐできることを始めてみて」と秋元さん。

 例えば、ネットで「社会を変える方法」と検索してみる。気づいたテーマについての本を読んでみる。その本の感想をツイッターやフェイスブックにつづってみる…。「一つできれば、あれもやってみよう、これもやってみようとなる。なりたい自分になるためでもいい。まずは一歩踏み出して行動することが大事」とアドバイスを送った。

 現在はG−netのメンバーとして活動に携わる一方で、愛知県岡崎市の「岡崎ビジネスサポートセンター」のセンター長として中小企業の経営相談に乗る。「何かに挑戦する人って尊い。手を挙げて行動する人がいなければ何も変わらないから。チャレンジする人を応援する社会にしたいと思っています」と語った。

 (構成・川合道子)

 <あきもと・しょうじ> 1979年生まれ、岐阜市在住。NPO法人「G−net」理事、岡崎ビジネスサポートセンター(オカビズ)センター長。早稲田大在学中に地域活性化を目指すG−netを設立した。経済産業省の「キャリア教育アワード」優秀賞など受賞。早稲田大社会連携研究所招聘(しょうへい)研究員、内閣府地域活性化伝道師。著書に「20代に伝えたい50のこと」(ダイヤモンド社)。

◆スタッフ感想

 飯沼 菜緒(高3・名古屋市名東区) 大変だったことを尋ねると、「好きでやっているからない」と秋元さん。やりたいと思ったことに対し小さくてもまずは行動を起こす。アンテナを張り知らないことを知ろうとする姿勢はすてきだと思った。

 黒田 桃花(高3・同市千種区) 印象的だったのが「特定の枠は人を苦しくする」という言葉。人からどう思われるか、バカにされないだろうか…。気にしすぎて挑戦することが怖くなっていたけれど、これからは挑戦し成長につなげたい。

 三浦 明香(高3・愛知県幸田町) 偏差値の高い大学を卒業し大企業に就職する人生が幸せだと考えられている。でも大学を中退した秋元さんの人生も楽しそうで幸せそうだ。私も本当にやりたいことに挑戦し納得して選んだ道に進みたい。

 大山 祐輝(高2・同県岡崎市) 高校生は義務教育と大人のはざま。特定の評価基準で進路を判断してしまいがちだ。固定観念を振り払って、自分の人生に彩りを与えるべきだ。小さなことから行動を起こし、自分らしい人生を送りたい。

 

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