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高校生・大学生

「読む」と「聞く」が前面に 大学入学共通テスト・英語試験の試行調査

「大学入学共通テスト」の英語の試行調査に臨む高校生ら=愛知県岡崎市の岡崎北高で

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 現行の大学入試センター試験に代わり、二〇二〇年度から始まる「大学入学共通テスト」は、四月に高校一年になる生徒から対象だ。英語は大きく変わり、「読む・聞く・話す・書く」の総合的な力を測るため、民間の検定試験が活用され、二三年度までの四年間はマークシート式試験を併用する。変更点やマーク式の試行調査の傾向などを報告する。

 試行調査は、マーク式試験の作成を担う大学入試センターが、課題の検証のために二、三月に実施した。他科目と同様、「思考力、判断力、表現力」を問うことを重視。民間試験による評価を踏まえ、「読む・聞く」に特化させたのが特徴だ。

 筆記は、六つの大問すべてが長文で、ウェブサイトから必要な情報を読み取らせたり、旅行記などから概要を把握させたりした。受験英語を助長しているとの批判もあった発音などの問題が消え、質問文は英語に。リスニングは、日常会話も考慮し、読み上げ回数が現行と同じ二回の班と、一回も混在する班に分けて実施。米国人が担当していた読み上げは、英国人や日本人にも一部担わせた。

 センターによると正答率(速報値)は数%から90%台まででばらつきがあり、「バランス良く力を測れた。ただ、問題構成や内容が本番に引き継がれるかは分からない」。リスニングは二回読みに比べて一回読みの班の正答率が、約10ポイント下がった問題もあった。

 「筆記は長文問題ばかりで、途中で集中力が途切れてしまった」と苦笑いしたのは、愛知県岡崎市の岡崎北高の二年生。「将来英語を使うことを考えると今のセンター試験より役立ちそう」「読み上げ方に個性があり戸惑った」との声も。

 ベテランの英語教員は「難易度は上がっていないが、筆記は読む量が増えた。全体を見ながら文の流れを追う力が必要だ」と分析。河合塾の宮本正生・中部本部長は「読む力については、上位から下位層まで力を測れる良問。リスニングは情報を聞き取り整理する力が問われ、難易度が少し上がった」とした。

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 民間の検定試験は、高三の四〜十二月に受験した二回までの結果と、語学力の国際標準規格「CEFR(セファール)」に基づいて評価した段階別成績が大学に提供される。英検からTOEICまで多様で、どれを使うかは三月末に公表予定。地域による受験機会の差や受験料の負担などが課題だ。

 国立大は戸惑い気味だ。東京大は今月十日、民間試験について「現時点では拙速」とし、入試の合否判定に使わない方針を表明。中部地方の国立大関係者は「混乱している。四年間はマーク式を重視し、民間試験は数十点程度の加点にするか、東大式にする可能性もある。二次試験で読む・書く力を問えるし、話す力の評価は難しい」と明かした。

 「春から対応する必要があるのに、不明なことが多くて困る。四年で民間試験のみに変わるのもつらい」と愛知県内の高校教員。河合塾の宮本さんは「玉石混交の民間試験で、四技能を同等に評価できると考えるのは乱暴というのが個人的な見解だ。公平性を担保するならセンターが四技能を測る良いテストを作成する方が良いのではないか」。

 国立大学協会は、マーク式と民間試験の両方を全国立大の受験生に課すことを決め、民間試験については、出願資格として利用▽共通テストの成績に加点▽出願資格と加点の併用−の三つから、各大学が選ぶ方向で検討中という。

 試行調査の問題は、センターのホームページで公開している。

 (芦原千晶)

 

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