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高校生・大学生

就活直前「ワンデー」主流 インターンシップ短期化

三菱電機エンジニアリングが初めて実施した1dayインターンシップ=愛知県稲沢市で

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 三月から本格的な就職活動(就活)が始まるのを前に、企業が学生のグループワークや業界、会社の説明などを一日で行う「1dayインターンシップ」(ワンデー)が盛んだ。従来のインターンシップは就業体験の場で五日間以上の中長期が多かった。就活解禁時期の後ろ倒しに伴い、一刻も早く学生を獲得するため選考に生かす企業も多く、就活の“前哨戦”となっている。

 「開発部に配属された気持ちになって、危険を予測して回避するドアセンサーを開発してみてください」

 二日、「三菱電機エンジニアリング」(東京都千代田区)が、愛知県稲沢市の稲沢事業所で実施したワンデー。グループワークで、エレベーターの制御基板を開発している設計者(37)が学生に語り掛けた。

 二人一組で考えを出し合い約一時間後に発表。「発想が斬新だね」と笑みもこぼれるなごやかな雰囲気だ。講評後、実際に使うセンサーの説明も聞き、学生たちは納得の表情を見せた。

 同社は従前の五日間のインターンシップに定員以上の応募があったことなどから、今年初めてワンデーを開いた。「採用とは直結しない」と人事担当者。

 中部大三年の木下未悠(みゆ)さん(21)は「女性社員から出産後も働けると聞いて安心した。駆け足だったけれど、充実していた」。これまで六社のワンデーを経験し「一日なので多くの会社に行けて、就活の参考になる」。豊橋技術科学大の大学院生西岡正悟さん(23)は、この日の内容に満足しつつ「一日で職場の雰囲気を感じるのは難しい」とも話した。

 ワンデーが増えたのは二〇一五年ごろから。きっかけは、学業優先を目的に、経団連が会社説明会の解禁時期を約三カ月、遅くしたこと。一五年卒の学生までは三年生の十二月だったが、翌年卒から三月に。経団連は昨春からワンデーも認めた。

 今の三年生の場合、会社説明会が三月、選考が四年生六月に解禁で、内定は同十月から。就職情報会社「ディスコ」(東京都)によると、一七年度のインターンシップは本格的な就活直前の冬期(十二〜二月)が多く、実施企業の56・1%。約八割がワンデーという。

 「企業側は人材確保のために早期接触、選考を進めている。現三年生に内定を出した社もある」と語るのは、愛知県内の私立大の就職支援関係者。県内企業の人事担当者は「学生にとってインターンシップは当たり前でやらざるを得ない。選考につながって効果もある。うちは選考と直結させておらず、学生側をがっかりさせているかも」と漏らす。

 愛知淑徳大三年の女子学生は「ワンデーに行かない友達も多いけど、ワンデーの後に面談や説明会に呼ばれたことはある。選考色が強すぎると引くけれど、ワンデー参加者優先の選考会の通知をもらえたこともありうれしかった」と笑った。

 学生、企業双方に利点はありそうだが、大学側の見方は違う。日本私立大学連盟(東京都)は昨秋、「学生にとって企業や業界を知るよい機会」としつつ、本来の就業体験とは異なるとして、呼称の変更を経団連と各種業界などに求めた。

 人材サービス業「アイデム」(東京都)の調査によると、今春の卒業生向けにインターンシップを実施した企業の約五割が「選考の一環」と位置付けた。大学の61・2%は選考につながるインターンシップに反対し、国公立大に限ると76・2%。名古屋大の担当者は「就活の早期化につながり、学業の妨げにならないようにしてほしい」と語った。

 アイデムのスタッフは「地方と都市で参加しやすさに格差があり、不公平という意見もある」とし、「ワンデーに参加せず不安な学生もいるかもしれないが、大切なのは本選考。焦らず情報収集してほしい」と助言した。

 (芦原千晶)

 

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