トップ > 特集・連載 > 高校生 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

高校生

変わる?学生集中の東京 3区内の私立大が定員抑制へ

写真

 若者の東京一極集中に歯止めをかけようと、国が来年度から東京二十三区内にある私大の定員を抑制する方針という。はたして若者が地方に目を向けるきっかけになるのか。高校生スタッフらに聞いた。

 「倍率が上がると困るけど、進路を変える理由にはならない」と話すのは、愛知県東海市の鈴木悠斗さん(高二)。卒業後は関東の大学に進学し、将来は「社会福祉士か理学療法士として働きたい」と夢を描く。

 地元にも資格取得のためのカリキュラムが充実している大学はあるが、決め手は三年後に開かれる「東京オリンピック!」と言う。「そこでしかできないことを経験できるチャンス。ボランティアとして世界中の人たちと関わり、視野を広げたい」と笑顔を見せた。

 趣味はプログラミングという名古屋市の松田結衣さん(高一)も、東京での進学を考え中だ。IT系企業の本社が多いため「在学中にインターンシップがしやすそう」。情報工学を学んで「できればプログラマーに」と思いをはせる。

 政治経済の中心地だからこそ魅力を感じるという意見も多い。社会学系の学部を目指す同市の畑山亘さん(高二)は「日本を学ぶには最適なロケーション。たとえ浪人したとしても行きたいと思う」と話した。

 十八歳人口の減少で定員割れする地方の大学がある一方で、本年度の学校基本調査(速報値)によると、学生の約二割が東京二十三区内の大学に集中し、増加傾向にある=グラフ。

 三重県桑名市の坪井佑介さん(高三)は「学生が多いと少人数での授業が難しくなるのでは。教育の質を考えると、ある程度の規制には賛成」と理解を示しつつ、「規制をすることが地方創生につながるかは疑問」とも考える。岐阜市の田中万智さん(高二)は「そもそも東京に人が集まるのは魅力があるから。地方でしかできない学びをつくって魅力を高めないと根本的な解決にはならないと思う」と指摘した。

      ■

 大学での学びに期待していることは何か。リクルート進学総研が昨春卒業の高三を対象にした調査では、大学進学者は「専門的な知識が身につく授業が多い」「将来の職業に役立つ知識・技術を身につけられる授業が多い」といった回答が上位だった。

 大学は“地方派”という三重県松阪市の吉村緋莉さん(高三)は「座学だけではなく実践的な学びがしたい。大学と地元の企業との結び付きを強くして、企業で学ぶ機会を増やしてはどうか」と提案する。愛知県幸田町の三浦明香さん(高二)は「学費も気になる。地方で進学するなら無償にするなど思い切ったことも必要では」と要望した。

 地方でも、グローバル人材の育成などで全国から学生が集まる人気校はある。秋田県の国際教養大に進学した雉子牟田(きじむた)博さん=愛知県半田市出身・三年=は、「近くのコンビニまで三キロという立地だが、すべて英語での授業や留学生との寮生活など学ぶ環境が整っている」と満足げ。地域との交流も盛んで、田植えや祭りにも参加する。「世界だけでなく地方にも目が向くようになった」と、卒業後は地元へのUターン就職も考えているという。

◆愛知「地元に進学」が7割

写真

 リクルート進学総研などによると、2016年の大学進学者のうち地元の都道府県の大学に進んだ割合は愛知県が71%で全国1位、続いて北海道67%、東京都66%となっている。中部地方のエリア別では北陸が3.5ポイント、東海が3ポイント、07年に比べてそれぞれ伸びたが、長野、富山、岐阜の3県が2割を切り、若者の県外流出が目立つ。

 都市部に進学した学生の多くが卒業後も地元には戻らず、そのまま就職する傾向もある。東京で就職する学生のうち、約3分の2は大学進学時に他地域から東京に来た学生という。

 県外に進学した若者を呼び戻すにはどうしたら?

 愛知県瀬戸市出身で早稲田大大学院2年の大島潤平さんは、来春から東京に本社を置く食品メーカーに就職予定だ。勤務する地域にこだわりはなかったものの「大手就活サイトでは地方の企業情報は得にくく、東京志向になってしまった」と振り返る。「学生が『ここで働きたい!』と思える企業を一つでも増やせるよう、地域全体でサポートすることが大事」と話した。

 岐阜県多治見市出身で、大分県の立命館アジア太平洋大に進学した4年安藤絢音さんも東京で就職予定。「地方の大学に学生が増えても、働く場所がなければ住み続けるのは難しい。地方は大学の特色づくりだけでなく、就職先まで考えておくべきだ」と語った。

 (川合道子)

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索