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高校生・大学生

<スタッフが聞く> フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん

安田菜津紀さん

写真

 終戦から72年がたった今も、世界には紛争や貧困などに苦しむ子どもたちがいる。私たちにできることは何だろう。中東やアジアなどで写真を撮り続けるフォトジャーナリストの安田菜津紀さん(30)に、高校生スタッフが聞いた。

 −フォトジャーナリストになるきっかけは?

 高校のときに「国境なき子どもたち」という団体の「友情のレポーター」として行ったカンボジアでの体験が原点です。当時の私は中二で父を、中三で兄を亡くし「家族って何だろう」とモヤモヤ。違う環境に住む同世代が家族のことをどう考えているんだろうと、自分本位の気持ちでした。

 貧困のために人身売買された子どもを保護する現地の施設で、同世代の子が「稼ぎが少ない」と虐待を受けた話をしてくれました。そんな目に遭っても「家族は寝る場所もないし食べ物もない」と家族を心配していた。「なぜ周りは分かってくれないの」と思っていた自分が恥ずかしくなりました。帰国後、出版社に「体験記を書きたい」と電話をかけました。見聞きしたことを分かち合うことはできると思ったんです。

 −なぜ写真を?

 世界の紛争地をテーマにした写真展で目にした一枚にくぎ付けになりました。アンゴラの難民キャンプで生き抜くお母さんと赤ちゃんの写真。思い出すたび「あの母子は今どうしているかな」と胸が締め付けられました。写真は無関心だった心を一歩、関心に近づけてくれる「最初の扉」です。

 −危険な地域になぜ?

 紛争の最前線に行くこと自体を目的にしてはいません。自分から声を届けるのが難しい人たちの拡声器になれるかもしれないと思って訪れる場所が、安全な場所とは限らないのです。

 −嫌になることは?

 今年の元日にイラクの病院に行くと、爆撃で負傷した子どもたちが運ばれてきました。一人の父親に「この子たちが兵士に見えるか? ちゃんと撮れ!」と言われシャッターを切りました。でも子どもを助けることもできない。伝えることは何て間接的な手段なのかと嫌になることはあります。

 −高校生にできることは?

 シリア人に「自分たちを苦しめているのは何だと思いますか?」と問い掛けられたことがあります。それは政府でもIS(イスラム国)でもない。「世界が無関心のままでいる、その感覚が自分たちを追い詰めている」と。関心を持つことは高校生にでもできます。

 <やすだ・なつき> 1987年、神奈川県生まれ。上智大総合人間科学部教育学科卒。難民や貧困などをテーマに中東やアジアなどで取材。著書に「写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って」(日本写真企画)など。

◆スタッフの感想

安田菜津紀さん(左)の話を聞く高校生スタッフ=中日新聞社で

写真

 坪井佑介(高3) 関心を持ち続けることが、ジャーナリストでも非政府組織(NGO)職員でもない私たち高校生の「役割」だと学んだ。

 竹村有紗(高2) 安田さんの話を聞き、自分がどれだけ世界の現実を無視してきたかということに気づかされた。

 西山綾乃(高2) 東日本大震災についての話もあり、記憶の風化が進む今だからこそ伝え続けなければならないと感じた。

 三輪亮太朗(高1) 安田さんは私たち一人一人のあだ名を聞いて呼んだ。言語の違う国での取材で身に付いた力だと思った。

 

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