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高校生・大学生

<スタッフが聞く> ニュースキャスター・国谷裕子さん

国谷裕子さん

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 十代が政治参加できるようになった「十八歳選挙」が始まり、この夏で一年。みんなはどんな未来を描いているだろう。高校生スタッフが今回取材したのは、NHKの「クローズアップ現代」で長年キャスターを務めた国谷裕子さん。「問う」ことの意味を考えた。

 番組が始まった一九九三年から二十三年間、国内外の政治家や有識者らへのインタビューを通し、社会のさまざまな問題に斬り込み続けてきた国谷さん。相手から深い話を引き出すには「準備した質問を捨てる勇気も必要」と話し、あらかじめ用意していた質問を順に投げかけるスタッフたちをドキッとさせた。

 生放送の限られた時間内でのやりとりは「もちろん緊張します」。相手が繰り出す答えにどう切り返し、踏み込むのか。「精いっぱいの準備をすることで『自分はできる』と思い込ませた」と明かす。

 一方、準備通りに進めるあまり「話を深掘りするチャンスを失った」ことも。心掛けたのは、相手の表情やまなざしの変化など体から発せられるメッセージを全身で聞くこと。「その人でなければ聞けない話にこそ価値がある」と話した。

 相手がどんな立場の人であれ、「問うべきことを問う」。なぜその政策が必要なのか、本当にそれが人々のためになるのか。番組では、私たちの生活に影響を及ぼす物事に決定権を持つ政治家や企業の経営者に、視聴者に代わって問い掛けた。

 ルーツにあるのはアメリカや日本、香港で過ごした幼いころの体験という。「人種や文化が違っても言葉で説明すれば分かり合えた。尋ねなければ『この人はこうだろう』との勝手な思い込みから摩擦が起きる」

 昨年三月、番組の最終回で、未来へ向けて動きだした若者たちを取り上げた。「自分たちが社会をつくるんだという思いにとても勇気づけられた」と国谷さん。「住んでいる地域や国の未来が『こんな姿であってほしい』と描くことから始めて」とスタッフにエールを送る。

 気掛かりは、事実ではない情報が出回って、社会の分断が深まる傾向にあること。スマートフォン世代のスタッフに「どんなメディアから情報を得ていますか」と尋ねた。

 若者の多くが情報を得るツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)では、友達が「いいね!」や「シェアする」ボタンを押した情報が自分の画面に流れる。スタッフの一人が「友達が見ていると、信頼できる情報だと思う」と打ち明けると、国谷さんは「考え方が似ている仲間の中で、情報がグルグルと回っている可能性もある。本当に自分が多様な考えにさらされている状態かどうか確かめて」と忠告した。

 伝えたいことがあれば、ネットに乗せて簡単に発信できる時代だ。「まずは抱いた疑問を大人や仲間に素直に『問う』ということが大事。問いながら自分の考えをまとめ、その上で発信してほしい」

 <くにや・ひろこ> 大阪府生まれ。幼少時代はアメリカと日本、香港で過ごす。1979年、アメリカ・ブラウン大卒。81年にNHKニュース英語放送の翻訳・アナウンスを担当。93年から23年間、「クローズアップ現代」のキャスター。著書に「キャスターという仕事」(岩波新書)。

◆スタッフの感想

国谷さん(中)を取材する高校生スタッフ=中日新聞社で

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 板垣杏奈(高3) もうすぐ18歳。あらゆる角度から物事を考えたい。これからの社会を担う存在として意識改革したい。

 宮澤絢羽(高3) 思っているだけのことがたくさんある。大人に頼りきりではいけない。疑問を声に出していきたい。

 市川慎太郎(高2) 自分が感動した話を人に伝えることにやりがいを感じると聞き、共感した。僕も伝える仕事がしたい。

 小野田菜緒(高2) 私も国谷さんのように返ってきた答えに満足せず、さらに問うことで問題への理解を深めたい。

 

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