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高校生・大学生

生徒会つくり「楽しく」 通信制「連携校」に通学

2カ月に1回発行する生徒会通信について話し合う生徒会のメンバーたち=名古屋市中村区のKTC中央高等学院名古屋キャンパスで

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 いじめなどで中学校を休みがちだったり、高校を中退したりした生徒たちの進路として、選択肢の一つになっている通信制高校。近年は遠方の通信制高校に在籍しながら、学習を支援してくれる最寄りの「サポート校」に通学する高校生が少なくない。名古屋市内のサポート校には「生徒会」が生まれた。メンバーたちの思いは。

 「おはようございます」 一月中旬、名古屋駅近くにある「KTC中央高等学院」(本部・名古屋市)名古屋キャンパスに、高校生たちの声が響いた。

 生徒会によるあいさつ運動。毎週火曜と木曜の朝、メンバーが入り口に立って一人一人に声を掛ける。

 KTCは、鹿児島県の屋久島に本校を置く広域通信制高校「屋久島おおぞら高校」と連携するサポート校。全国に三十六のキャンパスがあり、生徒数は約七千人。大半が現役の高校生と同じ年代だ。同高校に在籍しつつ、最寄りのキャンパスに週一〜五日、自分のペースに合わせて通う。

 キャンパスでは、授業で教科書の内容を教わった上で高校のリポートを作成したり、単位認定試験に向けて個別に学んだりする。サポート校は、生徒が一人では挫折しがちな学習を支援する民間施設。広域通信制高校は高卒資格を得られるが、サポート校は法律上の高校ではない。塾や予備校に近い。

 そんな名古屋キャンパスに生徒会が生まれたのは、三年ほど前。卒業生で現在会社員の谷涼花さん(20)が三年生の時、「もっと“学校”を楽しくしたい」と友人と一緒に立ち上げた。

 休み時間には教室に一人でいる生徒に声を掛けて回ったり、校内の掲示物を手作りしたり。あいさつ運動も、自ら提案して始めた。「つらい経験をして、人と関わるのが苦手な子がほとんど。友達をつくりやすい雰囲気にしたかった」

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 キャンパスには、スポーツや芸能活動、留学を目的に入学する生徒もいるが、多くの生徒には過去にいじめや不登校などの経験がある。全日制高校からの転入学や編入学も珍しくなく、佐藤雅史キャンパス長によると「集団から無視され、登校すると机に落書きされていた」生徒もいるという。

 生徒会は、八人の後輩たちが受け継ぐ。会長で三年の花井美友里さん(18)は、先輩の谷さんの姿を見て活動を手伝うようになった。

 中学時代は友人との関係がうまくいかず、二年の秋からほとんど登校できないまま卒業を迎えた。「学校に行かなきゃ」。プレッシャーと戦う毎日だった。

 生徒会に入って初めての文化祭。ステージの催しを企画し、ダンスにも挑戦。ようやく学校の楽しさを味わえた気がした。「仲間とけんかもしたけど、あっという間の三年間」と笑う。

 二年の安藤克真さん(17)が生徒会に入ったのは、あいさつ運動がきっかけだ。ただ「おはよう」と言われているだけなのに、自分の存在を認めてくれているようで、うれしかった。「次は僕が誰かを励ましたい」

 玄関に立つと、あいさつが返ってくる人もいれば、下を向いて通り過ぎる人もいる。無視されたとは思わない。「何か抱えているのかも」。卒業後は海外の大学に進み、心理学を専攻したいと思うようになった。

 「勉強だけじゃない、誰かと楽しい時間をシェアしたいっていう思いもあるんじゃないかな」。この冬も「おはよう」と声を掛け続けるつもりだ。

 (川合道子)

 <広域通信制高校> 三つ以上の都道府県から生徒を募集する通信制高校。文部科学省によると2016年5月時点で、全国に105校あり、この20年間で10倍以上に増加=グラフ。約10万人の生徒が在籍する。多くは通学コースを設けたり、学習塾や予備校などが経営するサポート校と連携したりしている。

 

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