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高校生・大学生

海外留学で目標見えた 官民による「トビタテ!」事業

プログラムの事後研修で経験や今後の目標を語り合う高校生たち=東京都千代田区の文部科学省で

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 内向き志向といわれる日本の高校生たちが、次々と世界に飛び立っている。後押ししているのが、文部科学省が民間と協力して海外留学を支援する「トビタテ!留学JAPAN(ジャパン) 日本代表プログラム」だ。応募で選ばれた生徒には、返す必要のない奨学金が給付される。

 海外も留学も初めて。「不安で、ガチガチに緊張していました」と振り返るのは、福井市の高志高校に通う増田叶夢(とむ)さん(二年)。プログラムの第二期生として夏休みの三週間、ニュージーランドの語学学校に通った。

 ほろ苦い留学デビューだった。日本で勉強してきたはずの英語は、いざ会話となると使えず「文法なんかめちゃくちゃ」。自分の英語力やプレゼン技術のなさ…。でも失敗したからこそ分かった。「自分に何が足りないのか。もっと自分を成長させたい」

 プログラムは高校生と大学生が対象。高校生コースは、アカデミックやプロフェッショナルなど四分野で募集がある=表参照。渡航先や期間、留学内容は自分の目的に応じて計画できる。インターンシップ(就業体験)やボランティアなど学校に行かない活動も可能だ。

 名古屋市の愛知高校に通う新山紗代さん(三年)は六月末から二カ月間、南太平洋のサモアを訪問。平日は主に現地の小学校で算数やアルファベットなどを教えた。

 教室に入ると、日本では「考えられない」光景が広がっていた。一クラスは六、七十人と大人数。教師も足りず、四時間目になっても先生が来ない時もあった。そんな教室を見つけては授業を始めた。

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 いつか国際機関の一員として、発展途上国の子どもたちを支援したいと考えている。「今までは『ただの憧れ』だったけど、リアルな現場を体験し、やりたいことが明確になった」。卒業後は米国の大学に進学し、国際開発学を学ぶつもりだ。

 文科省が実施した二〇一三年の調査では「留学したいと思わない」と答える高校生は56・3%と半数を超える。しかし「きっかけさえあれば、留学したいと思う高校生は多いはず」と新山さんは言う。

 自身も高二の秋、担任の教諭が「行ってみない?」と背中を押してくれたことが始まり。奨学金も魅力だった。支給されたのは、渡航費や現地活動費など七十万円。「奨学金がなければ行けなかった」

 増田さんにも中学の社会科教員になる夢がある。留学先で世界十五カ国の生徒から母国の授業について聞くと、大半の国がディスカッション中心だと知った。「日本のような受け身の授業では、グローバル化する社会で活躍できる人材は育たない」と感じた。

 一つの教科にとらわれず、「例えば『歴史上の出来事を世界はどうみるか?』など、広い視点で授業ができる教員になりたい」と増田さん。初めての留学を経験した今はもう、気負うことなく言える。「次は大学で、教育の先進国といわれるスウェーデンに一年留学したい」

 文科省は第三期生を募集中。詳しくはホームページ(「トビタテ 高校生」で検索)。

 (川合道子)

 <トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム> 2014年に始まった官民協働の海外留学支援制度。高校生と大学生が対象で、東京五輪が開かれる20年までに、1万人を海外に送り出す計画。背景には、グローバル社会で活躍できる人材不足がある。奨学金は家庭の収入状況などによって給付額が異なる。財源は民間の寄付で、198の企業や団体が計116億円の支援を表明している(11月2日現在)。高校生コースの派遣は15年からスタート。第1期は応募者514人から303人、2期は2058人から511人を採用している。

 

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