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高校生・大学生

「最小限に」「志望校変え借りない」 奨学金、返済に不安

 大学進学を目指す高校生たちにとっては、いよいよ本格的な受験シーズン。でも進路を決めるのに気になるのが、お金のこと。奨学金を借りても「返せないと怖い」と不安を抱える高校生も多い。学費と進路選択、みんなはどうしてる?

 愛知県の公立高校に通う女子高生(三年)は十月下旬、AO入試で受験した大学から合否通知のメールを受け取った。学校の廊下の隅で、恐る恐るスマートフォンの画面を確認すると、「合格」の二文字。「やった、やった!」

 第一志望だった東京の私立大。翌日、速達で届いた入学手続きの書類に目を通すと、十日後には入学金と授業料の一部として約七十万円を振り込むよう記載があった。事前に知っていたものの「大学のお金って高い」。

 父は会社員、母はパートの「普通の家庭」だ。とはいえ進路選びは、自分が学びたいことと学費との葛藤だった。

 二年の夏、大学の模擬授業を体験し「ここなら得意な英語で幅広い知識を身につけられる」と感じた。しかし、学費は年間で百三十万円以上。下宿代も考えると「自宅から通える大学に行かなきゃ」。

 地元の国公立大や私立大のオープンキャンパスにも足を運び、別の進路を模索したものの魅力を見いだせずにいた。「やっぱり、本当に学びたいと思える大学に行きたい」

 三年の春、高校の掲示板の張り紙に目がとまった。日本学生支援機構の奨学金についての校内説明会。奨学金には無利子の第一種と有利子の第二種があり、「奨学金は借りるお金であること」「借りすぎると返済が困難になる恐れがあること」などを学んだ。

 家計の状況から、第二種の採用基準を満たしていることが分かった。学費や生活費の一部に充てるため、夏休み前に申し込むことを決めた。

 借りる金額は、毎月三万〜十二万円が選べるが「返せなくなると怖い」と最少額の三万円。「少ないけど安心感はある」。卒業後の返済額は、機構ホームページにある「奨学金貸与・返還シュミレーション」で確かめた。

 学生生活に備え、今月からアルバイトを始める。気になるのは、奨学金を巡る政府の対応だ。初の十八歳選挙となった七月の参院選では、返済のいらない給付型の奨学金を実現してくれそうな候補者や政党に一票を投じた。

 「普通の家庭でも行きたい大学をあきらめている友達もいる。学びたいことをみんなが学べる社会にしてほしい」

 日本学生支援機構の学生生活調査によると、奨学金を受給する大学生は51・3%で、年間収入に占める奨学金の割合は二十年前に比べて三倍以上に増えている。卒業後の返済に不安を抱く学生は多い。

 機構は、来年度から無利子の奨学金を借りる学生を対象に、卒業後の収入に応じて返済額を変える所得連動型の制度を取り入れる。だが愛知県の男子高生(三年)は「返済しやすくなる印象はあるが、返さなければならないことに変わりない。長引くと結婚に影響しそう」と冷静だ。

 返済への不安から、あえて奨学金を借りない道を選んだ高校生もいる。名古屋市内の私立高校に通う女子高生(三年)は「他に行きたい大学があった」ものの、系列の大学に進学先を決めた。理由は「授業料が半額になるから」。

 社会福祉士になりたいという別の女子高生(三年)は、まだ学費のめどが立たずにいる。「大学に行きたいと思っちゃう自分が嫌になる。もっと学びたいと思うのは、わがままですか?」と訴えた。

 (川合道子)

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