トップ > 特集・連載 > 医療 > 舌はないけど > 記事

ここから本文

舌はないけど

(18)抗がん剤治療終了 選んだ道、うれしい成果

 五月から始まった抗がん剤治療。半年かけて全六クールが終了しました。

 体がつらくてひたすら寝ていた日もありましたが、大きなトラブルもなく、予定通りのスケジュールで治療を続けることができました。副作用も、終わってみれば想像していたよりも、ずいぶん楽に過ごせました。吐き気を抑える薬も、今はいいものがあり、医学の進歩に感謝です。そして、経験者の方たちから事前にさまざまなアドバイスをいただけて、自分なりに準備して治療に向かうことができて、とても心強かったです。

 そして先月、半年間の治療の成果が分かってきました。肺に転移したがんは、大きくなる一方だったのですが、コンピューター断層撮影(CT)の結果、影が薄くなっていました。そして、私が一番心配していた目の裏側・海綿静脈洞に転移したがんは、磁気共鳴画像装置(MRI)で調べたところ「ほぼ消滅」。思いがけないうれしい知らせでした。

抗がん剤治療を終え、ロックバンドのライブから戻りガッツポーズ=11月、名古屋市内で

写真

 先月二十七日、薬物療法部のK先生の診断で、「経過観察」の治療方針が確定しました。受診に付き合ってくれた闘病仲間と、手を取り合って喜びました。転移が見つかってから一年近く、岐阜県飛騨地方から名古屋まで頻繁に通い、たびたび入院し、仕事も退職して治療を続けてきたのですが、当面は「三カ月に一度」の肺のCT検査で済むのです。

 抗がん剤治療を受けて、本当に良かったと思いました。

 腺様嚢胞(のうほう)がん(ACC)は、有効な抗がん剤がないといわれています。希少がんで症例数が少ないため、エビデンス(根拠)が確立されていないのです。つまり、治療は手探り状態。やってみないと分からないのが現状です。

 K先生は、抗がん剤を積極的に勧める方ではないのですが、四月に「今やったほうがいい」とアドバイスしてくれました。私も、仲間から治療法や成果を聞いたり、セミナーに参加して学んだりしていたので、自分の症状や体力などを考え「今が最善のタイミング」と思ったので、選択しました。自分が納得して選んだ治療なので、どんな結果であっても、後悔はしなかったと思っています。

 自分のがんを正しく知ることが身を守る力、治療を選択する力になりました。抗がん剤治療の副作用や結果は、人それぞれで、タイミングによっても違ってくるのですが、今回の私の結果が今後のエビデンスにつながることを期待しています。

    ◇

 荒井里奈 1974年生まれ。岐阜県在住。2015年に腺様嚢胞がんで舌を切除。闘病とリハビリを続けている。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索