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舌はないけど

(10)容姿の変化 前向きな先輩に共感

 私の病気、腺様嚢胞がん(ACC)は、自分でも漢字で書けない、難しい名前です。頭頸部(首、口腔内など)のがんのうち1、2%の珍しいがんで、分泌腺にできます。進行は遅いけれど、遠隔転移の頻度は高い。希少がんであるため、研究は進んでおらず、有効な抗がん剤はありません。切除手術が第一選択。場合によって放射線治療となります。

 顔面や首などの場所でがんを切除するのはとても難しく、話す、食べる、呼吸をするといった大切な機能に大きな障害が残ったり、容姿の面で大きなダメージを受けることもしばしばあります。その意味でも過酷ながんだと思います。

 私も、手術でまひが残ったり、外見が変わったりして、自分の変化を受け入れることが難しかったし「この先、転移してしまったら、もう治療できないのか」と不安でたまらなかったのですが、大きな力となったのが、東京在住の先輩患者「はまさん」こと浜田勲さん(54)の存在でした。

がん啓発イベントのブースで、浜田さん夫妻と私(中央)=昨年8月、東京都内で

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 私が舌を切除して入院していたころ、はまさんの闘病ブログをネットで見つけ、食い入るように読んでいました。耳下腺に発症したACCにより、右の顎(がく)関節と顔面神経を切除された後、口が半分しか開かなくなる中で、食べ方を工夫しながら、ミキサー食、刻み食と改善していった様子、顔立ちが変わってしまいショックを受けながらも、前向きに未来を見つめる姿に、深く共感しました。

 そして、二〇一六年夏にはまさんが患者グループ「TEAM(チーム) ACC」を立ち上げた後は、患者カフェなどに参加し、多くの仲間を得ることができました。活動にはいつも奥さまがご一緒。すてきなご夫婦です。

 はまさんが「ぼくの笑顔は五十パーセントだ」とおっしゃったことがあります。奥さまに百パーセントの笑顔を見せたいのに、思いを表情にすることができない。そんなつらさを思うと、涙が止まりませんでした。それでも、全国の仲間たちが集い、語り合える場を運営していく姿に「私も頑張らなきゃ」と思いました。

 TEAM ACCにはオリジナルTシャツがあります。デザイン関係のお仕事をされている、はまさんの制作です。これを着ていると、どんなときも仲間と一緒だと感じられます。

あらい・りな 1974年生まれ。岐阜県在住。2015年に腺様嚢胞(のうほう)がん(ACC)で舌を切除。闘病とリハビリを続けている。

 

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