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広がる病院ボランティア 外来案内や話し相手 活動多岐に 

 病院で外来患者の案内などを担うボランティアが活躍している。待ち時間に患者の話し相手になったり、がん治療で髪の毛を失った患者向けに帽子を作ったりして活動の幅が広がる一方、担い手の高齢化が進んでおり、人材確保が課題となっている。 (河野紀子)

高齢化で人材確保課題

 「こちらをどうぞ」

外来患者のために車いすを整理する大谷英雄さん=愛知県長久手市の愛知医科大病院で

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 愛知県長久手市の愛知医科大病院で昨年十二月、近くの主婦大谷悦子さん(75)は外来の受付で、患者用の手のひら大の電子端末を診察に訪れた女性に手渡した。

 電子端末は診察時間を知らせたり、自動精算に使ったりする。待ち時間を自由に過ごせて便利だが、扱いが分からずに困る人も少なくないという。「高齢で機械が苦手な人もいる。さりげなく声をかけ、端末を専用のカバーに入れたり、精算機にバーコードをかざす操作を手伝ったりします」

 夫の英雄さん(77)と八年前から週二〜三回、午前中に外来でボランティアとして活動。外来案内や車いすの整理のほか、ごみ拾いや患者や家族の話し相手になることもある。

 患者からは病気の不安や身の上話を打ち明けられることも。「ただ聞くことしかできなかったけれど、話してすっきりしたとほほ笑んでくれる人もいた。お礼の手紙が届いたときはこの活動をしていて良かったと思った」と笑顔を見せる。

日本病院ボランティア協会が発行するガイドブックやリーフレット

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 同病院では、二〇一四年の新病院の開院に合わせて病院ボランティアを広く募集し、現在、県内に住む四十〜七十代の八十三人が登録。院内図書の整理やクリスマスといったイベントの手伝いのほか、がん治療で髪の毛や乳房を失った患者向けにタオル帽子や乳房パッドを作ったり、自身の趣味や技術を生かして絵画や書を展示したり。入院患者にアロマトリートメントを行うグループもある。

 病院管理課主査の永田大介さん(42)は「外来に来る人は一日二千七百人。医療者や職員だけでは手が回らない部分を支えてもらっている」。感染症対策や車いすの操作法などの研修会を開くなど、積極的に後押ししている。

 各地の病院ボランティアグループでつくるNPO法人「日本病院ボランティア協会」の吉村規男理事長(68)によると、病院ボランティアは大きく分け、外来の案内、入院患者の話し相手や院内図書の整理など病棟内の活動、終末期の患者の緩和ケアを行うホスピスでの支援の三つ。「あくまで素人で、患者から病気について聞かれても答えない、患者さんが話したことは口外しない。患者と家族の気持ちを尊重し、寄り添うことが大切」と話す。

 国内では一九六二年に大阪の淀川キリスト教病院が初めて受け入れたとされ、当初は医療者ではない一般市民が患者と接することに抵抗を感じる病院も。活動が少しずつ認められて導入が進み、協会発足時に三十四だった会員は全国の二百近くに増えている。

 吉村さん自身、京都市のホスピスで開かれているお茶会で、十四年前から傾聴ボランティアを続ける。「医療者でないからこそ気軽に話したり、ときには弱音をこぼしたりできる」

 ボランティアの需要が増える一方、担い手が高齢化している。平日の日中が主な活動時間で、昔は専業主婦が多かったが、共働き世帯が増えて現在は定年退職した人が中心に。高齢を理由にボランティアを辞める人が相次ぎ、解散したグループもある。協会が二〇一五年に会員外も含む約三百のボランティア団体に行ったアンケートでは七割が「会員の減少が問題」と答えた。

 吉村さんは「認知度は上がったが、まだ存在を知らない人も多い」と指摘。若い担い手を増やすために、会員の活動をまとめて紹介するガイドブックを作成したり、ボランティアの受け入れを検討する病院向けに講座を開いたりし、周知を図っている。

 

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