トップ > 特集・連載 > 医療 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

医療

がん患者 つながろう 治療の情報格差埋めたい

飯田の女性呼び掛け

 孤立しがちな地方のがん患者がつながり語り合うことで、治療や情報の地域格差をなくそうと、長野県飯田市の英語講師で、終末期の大腸がんを患う渡辺さゆりさん(48)が同市で患者会「ひだまりかふぇ」を立ち上げた。患者の誰もが自らの病気を正しく知り、納得して治療を受けられるよう「告知は生きる出発点。今を楽しんで、いっぱい話し、笑おう」と呼び掛ける。四日はがん対策を啓発する世界対がんデー。(編集委員・安藤明夫)

ひだまりかふぇで、初参加の患者に話しかける渡辺さゆりさん=長野県の飯田市立病院で

写真

 ひだまりかふぇは昨年十一月、渡辺さんが地元の患者仲間と設立。毎月一回、飯田市立病院でおしゃべりを楽しんだり、情報交換したり。会員は患者や家族、支援者で年齢やがんの種類、ステージは問わない。

 渡辺さんは治療体験を通じ、地方と都市の間で、治療水準や情報の量や質、それらを活用する「患者力」に格差があると感じたという。

 二〇一五年秋に地元の病院で早期の大腸がんと診断された。だが、愛知県がんセンター中央病院(名古屋市)で受けたセカンドオピニオンで治癒が見込めないステージ4と判明。余命は平均二年半と宣告されたが、同病院で新薬の臨床試験(治験)に参加するなどし、今も動けている。

 「セカンドオピニオンや治験を受けたからこそ今がある」。医師や患者仲間を通じて最新の治療や情報を知り、不明な点は医師に尋ね、考えも伝える。

 一方、地元を含め地方の患者には「医師の言うことは絶対。質問や主張は許されない」との意識が残り、萎縮しがちという。また、「他人に話すことをはばかり、患者がつながりにくく、支援や治療などの情報弱者になりやすい」。平均余命を過ぎ「まだ動けるうちに、格差を縮める種まきに」と患者会を思い立った。

 抗がん剤の副作用と闘いながら、支えになったのが患者仲間。ステージ4のがんで同病院に入院していた岐阜県下呂市の荒井里奈さん(44)=本紙医療面でコラム「舌はないけど」を連載中=らと語り合い、「心が軽くなっていった」と振り返る。

 前向きに語れるよう自らを戦隊ヒーローにたとえ「ガンカンジャー」と命名。今からできることを考え、できる限り学ぶなどし、行動指針として伝えている。「告知は死の宣言ではなく、自分らしく生きるために困難を乗り越えていく勇気と希望の出発点。心細い時期に仲間を得て勉強したり、医師に質問したりする力を身に付けて」と願う。 

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索