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補足面談でより正確に  職場の「ストレスチェック」 

愛知の病院臨床心理士らが担当

 簡易テストなどを通し従業員が心の不調になるのを未然に防ごうと導入されたストレスチェック。ただ、人事などへの影響を考え、高ストレスと判断されても医師の面接を希望しなかったり、テストに正直に回答しなかったりするケースも少なくない。同チェックを企業から請け負っている愛知県一宮市の上林記念病院は、医師のほかに臨床心理士らが面談にかかわり、きめ細かく心の状態を把握するとともに、面談を受けやすい環境づくりに取り組む。 (小中寿美)

時折質問しながら女性(手前)の話に注意深く耳を傾ける斉藤和哉さん=愛知県一宮市の上林記念病院で

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 一月初旬、同病院であったカウンセリングで臨床心理士斉藤和哉さん(32)が女性の話に耳を傾けていた。

 女性は、県内で働く三十代のシステムエンジニア。カウンセリングでは、仕事の方法を上司に提案しても受け入れられないことや、不満があっても「上司の言うことだから受け入れなければ」と無理に納得させていたことを打ち明けた。

 同僚との何げない会話の中で、職場への不満を口にしているが、斉藤さんは「本音がもっと言えると、割と楽になるかもしれない」と前向きにとらえるよう助言した。女性は「結論を急ぐことはなく話しやすかった」と話した。

 ストレスチェックでは簡易テストの結果で数値上、高ストレスと判定され、産業医や保健師らによる評価で必要と判断された人に、医師の面接が勧められる。

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 同病院は二〇一七年春から企業などを対象に、ストレスチェックサービスの提供を開始。テストの結果、高ストレスと判定された人には臨床心理士や精神保健福祉士による補足面談を行い本当に高ストレスかどうかを見極めるのが特徴で、結果を本人に送る際に希望するかを案内している。

 話を聞いてもらうためにあえて数値が高くなるよう回答したり、高ストレスの原因が職場以外だったりするケースがあり、テスト結果の本来の原因を探って医師の面接が必要なケースかをスクリーニングするのが主なねらい。誰が受けたか企業には伝えないため、医師の面談よりもハードルが下がり、従業員にとっては利用しやすい側面もある。

 斉藤さんは「特にわざと高くしている人は、傾聴することで不満が収まるケースが多い。吐露する機会が生まれ、ストレスの整理につながっている」と話す。

 昨年度は十二社からサービスを請け負い、このうち六社で補足面談を実施。数値上の高ストレス者は計百七人だったが、希望した七十四人と面談した結果、九十人まで絞り込まれた。

 また、同病院では具体的な職場改善につなげるため、質問票に自由記入欄を設け、書かれた内容を個人が特定されない情報に変えて企業に戻している。

 だが、医師の面接を希望する従業員は極めて少ない。ある企業は五十人を高ストレス者と判定したが、医師の面接を希望したのはゼロ。また、ストレスチェックは任意のため、面談だけでなくチェック自体受けない従業員も少なくない。

 同病院の担当医師で愛知淑徳大心理学部教授の古井景(ひかり)さん(56)は「うつ病などのリスクの高い人は受けない傾向にある。病気の早期発見はストレスチェックとは別に取り組んでいく必要がある」と強調している。

 ストレスチェック制度 

 労働安全衛生法の改正で、2015年12月に導入。「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「(上司や同僚に)気軽に話ができるか」など労働環境や人間関係について質問し、回答を分析。高ストレス者から申し出があれば、医師の面接指導を受けさせ、必要に応じて勤務時間の短縮などの措置をしなければならない。

 

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