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インフル 冬以外も注意 渡航者から感染増 9月に学級閉鎖も

 インフルエンザによる学級閉鎖が九月以降、全国で起きている。流行が早まる兆しかと調べてみると、昨年も似たような状況だった。実際には夏も患者は発生しており、専門家によると、季節に関係なく局所的な小流行が起きることもあるという。人の移動が増えたことで海外から持ち込まれるのが一因とみられ、感染リスクはもはや年中あると考えた方がよさそうだ。(小中寿美)

 厚生労働省によると、学年閉鎖や休校も含めると、九月三日から十月七日までに幼稚園や小学校など延べ七十七施設であった。エリアは東北から九州・沖縄まで幅広い。名古屋市では九月十日に今季初めて学級閉鎖を発表。これまでに小学校四校で五クラスが学級閉鎖している。ただ全国的には昨年の同時期と比べるとほぼ同数で、「誤差の範囲内」と担当者は話す。

 学級閉鎖は集計が九月に始まるため、インフルエンザのシーズン初期の話題となりやすい。しかし、実際には夏場も各地で患者が発生している。特に沖縄県では今年五〜七月、幼稚園や小学校、高校など九施設十クラスが学級閉鎖している。

 一因として考えられるのは、渡航者や訪日客など人の行き来が増え、海外から持ち込まれること。猛暑に襲われた七〜八月も、冬の南半球では流行のピーク。トラベルクリニック(渡航外来)がある国立国際医療研究センター病院(東京)の大曲貴夫副院長(47)は「渡航者が国内に持ち込み、小規模な流行が起きるケースは実感としては増えている」と話す。

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 ただ、地域によっては夏に流行することも。東南アジアなど熱帯・亜熱帯地域では例年、夏の雨期にピークを迎えている。インフルエンザは乾燥した状態が続くと流行しやすいとされているが、大曲さんは「乾燥が流行の条件ではない可能性もある」と話す。なぜ多湿の夏に流行するのか、調査や研究が進まず不明なところが多いが、世界を見渡せば、どこかで流行が起きていることは念頭に置いた方がよさそうだ。

 大曲さんは「訪日客が増加する中、季節を問わず感染のリスクがあることを知り、手洗いや人混みでのマスクなどの行動につなげてほしい」と話している。

    ◇

ワクチン接種 来月中旬めどに

 インフルエンザの国内の流行は例年十二月ごろ始まり、一〜二月にピークを迎える。流行前からできる対策がワクチン接種。愛知医科大病院感染症科の三鴨広繁教授(57)は「打ってもかかることはあるが、重症化を予防できる」。流行の時期を考慮し、十一月中旬をめどに接種するよう勧める。

 三鴨さんは図の対策を数字の順に重視する。患者数が過去最多となった昨シーズンは、熱が上がらないケースが話題に。「流行が始まったら、高熱が出なくても風邪の症状があれば自己判断はせずに受診を」と促す。

 治療薬はこれまで、五日間服用が必要な「タミフル」が主流だったが、今年三月から錠剤一回だけで効果が期待できる新薬「ゾフルーザ」が使えるようになった。開発した塩野義製薬(大阪)によると、細胞内でのウイルス増殖を抑制。他人への感染リスクも減ると考えられるという。

 ただ、三鴨さんは「臨床試験では、変異ウイルスが現れる確率がやや高かった」と説明。「ゾフルーザばかり使っていると変異ウイルスが現れ、効果が低くなる可能性がある」と指摘し、「医師に出された薬を最後までしっかり服用して」と話している。

 一方、タミフルは二〇〇七年から原則禁止となっていた十代への投与が解禁された。服用しなくても、感染した子どもの中には異常行動を取るケースもあり、厚労省は診断されたら少なくとも二日間は未成年者を一人にしないよう呼び掛けている。

 タミフルの後発品も承認され、沢井製薬(大阪)が「オセルタミビル」として販売を始めた。タミフルと同じ効能・効果があり価格は半額となっている。

 

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