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ノーベル便乗商法 ご用心 根拠ない免疫療法宣伝

がん患者団体「正しい知識を」

 ノーベル医学生理学賞に便乗する動きが出始めている。受賞を決めた京都大特別教授の本庶佑(ほんじょたすく)さん(76)が確立したのは、新たながんの治療法である免疫療法。科学的根拠の弱い別の免疫療法を売り込むクリニックがあり、がんの専門医や患者団体などが警戒を強めている。ネット上でノーベル賞に絡めた宣伝があふれる中、本庶さんも「極めて問題だ」と懸念する。(安田功)

科学的根拠のない、がん免疫療法への注意を呼び掛ける坂英雄さん=名古屋市中区の名古屋医療センターで

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 「免疫研究で受賞した本庶佑先生に心よりお祝い申し上げる」。関東地方のあるクリニックはホームページで、ノーベル賞決定に触れながら「免疫細胞療法」をPR。この療法は採取した免疫細胞を活性化させてから体内に戻す手法で、薬で免疫のブレーキを止めようとする本庶さんの研究とは根本的に違う。

 他にもネットで検索すると、健康保険の適用外で治療費が二百万円を超える免疫細胞療法や、「免疫増強で知られる」とうたい、二万円余のサプリメントを宣伝するクリニックも。

 だが、国立病院機構名古屋医療センターの坂英雄・がん総合診療部長は「いずれの療法も科学的根拠は認められておらず、治療を受けても時間と金の無駄になる可能性が高い」と指摘。「ネットは玉石混交の情報があふれ、『免疫』という言葉が独り歩きしている」と警鐘を鳴らす。

 受賞決定後、国立がん研究センターはフェイスブックで「効果が明らかな免疫療法は限られている」と注意喚起。かかりつけ医や、全国に四百カ所余ある「がん診療連携拠点病院」に設置された相談支援センターへの連絡を呼び掛ける。

 全国がん患者団体連合会もホームページで「『がんが消える、治った』などとの安易な情報に気を付けてほしい」との声明を出した。

 スキルス性胃がんの患者や家族でつくるNPO法人「希望の会」の轟(とどろき)浩美理事長(56)には、がん切除後に再発を恐れ、自由診療の免疫療法を受けた知人がいる。「結局、効果はなかったようだ。誤った治療によって体に害が及ぶ恐れがあり、正しい知識を広めないといけない」と話す。

 本庶さんも受賞決定後の記者会見で「わらにもすがる思いの患者がいる。効果がない物を提供し、金もうけをしているなら、非人道的で極めて問題だ」と憤った。

 

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