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乳がんを治療中 元SKE48・矢方美紀さんインタビュー 病気の体験 前向きの力に

周りの支え 大切さ実感

 人気アイドルグループSKE48の元メンバーでタレントの矢方美紀さん(26)=愛知県在住=は四月、乳がんのため左乳房の全摘出とリンパ節切除の手術を受けた。病状を公表し、仕事を続けながら治療にあたる矢方さんに思いを聞いた。今月は乳がん啓発のピンクリボン月間。(編集委員 安藤明夫)

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 −きっかけは「セルフチェック」だったとか。

 去年の十二月に、乳がんのセルフチェックをテレビで紹介していたので、ネットで調べて試してみたら、左胸に硬いしこりがありました。友人に相談したら「すぐに病院に行ったほうがいい」って言われて、検査を受けました。二十代でも乳がんになるんだと、本当にびっくりしました。もし友人に相談してなかったら、今も放置していたと思うので、良かったです。

 −切除を決意するまで悩みましたか。

 最初は、乳房がなくなることにショックが大きかったです。でも、リンパ節にも転移していて、主治医から「この先の人生が大事」と言われて考えた末、自分で全摘を決めました。今は再建手術も保険でできて、元通りきれいになると聞いたことも「温存より切除」を選んだ理由の一つでした。主治医はとても丁寧に説明してくれて、信頼できる先生でした。

 手術は夕方から始まって四時間ぐらい。病室に戻って、切除痕を見て「あっ、こんな感じなんだ」と、特にショックはなかったです。ただ、体をどの角度にしても傷が痛む。左腕が肩より上に上がらず、携帯電話も使えませんでした。十日間の入院中、母が毎日来てくれたし、看護師をしていた大分県の伯母も夜行バスで駆けつけてくれて、ありがたかったです。

 −病気の公表を決めた経緯を教えてください。

 SNSで、仕事を休むことを少し書いていたのですが、いろいろ心配してくださる方が多くて、今の状況をちゃんと伝えなくてはと思いました。それでブログで公表したら、その日のうちにテレビのインタビューの申し込みがあり、すごい反響になって本当にびっくりしました。SNSなどで「勇気をもらった」「感動した」とコメントしてくれる方も多くて、だれかの元気につながるなら、私が存在する意味があるのかなと思えました。

 −そして抗がん剤治療を受けながらの仕事。

 退院して一週間後にラジオ番組の収録で仕事復帰しました。抗がん剤は五月から最近まで、二週間に一度の投与でしたが、初めのころは体がつらくて、家で数日寝て、お仕事を一日だけ頑張ろうって感じでした。ラジオでいつものトーンで話しているつもりでも、声に覇気がなくって、悔しくて涙が出たりしました。それでもタレントという職業はある程度は融通も利きます。毎日、会社に通いながら闘病する方たちはずっと大変だし、社会の理解が広がってほしいです。

 −脱毛も大変だったようですね。

 十日ほどでごっそりと抜けました。髪を洗っているとき、タオルでふいているとき、ドライヤーを使っているとき、周りは髪の毛だらけでした。ネットで調べて、通販のウイッグを使っていましたが、暑い時期は汗がすごいし、頭皮がヒリヒリしたりする。それで、全国福祉理美容師養成協会という団体が運営している「あぴサポあいち」(名古屋市千種区)で相談して、医療用ウイッグを提供してもらい、ウイッグの内側に汗取りシートを貼ることを教えてもらったり、ウイッグのカット、爪の手入れなど美容面でも支えていただきました。外見サポートって大切です。

 −これからの人生にどんな思いを持っていますか。

 治療面では、いま放射線治療を受けていて、来月からホルモン治療が始まり、痛い注射が定期的に十年間、続きます。でも、私自身は胸がなくなっただけで何も変わっていません。半年前、見た目の変化におびえていたのはとても小さなことで、自分の内面が変わらなければ自分らしさは損なわれないと思えるようになりました。

 病気への受け止め方は人さまざまですが、私自身はお仕事をすることで乗り越えてきたと思うし、割と落ち着いて状況を把握して対応できたと感じています。声優になることが夢で、SKE48に入ったのも卒業したのも声優になるためですが、病気を体験したことで、時間を大事にして、やるべきことを考え、行動するようになって、むしろ夢に近づいたとも感じています。家族や友人、主治医、患者さん仲間などの支えのおかげです。

 −ピンクリボン月間に寄せて、ひとことを。

 二十代で乳がんって衝撃的ではあるけれど、実はよくあることだと知りました。女性の方たちに、自身の体のこと、検診や治療のことに関心を持っていただきたいです。いろんな情報があふれていて混乱しやすいけれど、準備があれば全然違います。そして、実際に病気になっても、サポートしてくださる方がたくさんいることも知ってください。

 やかた・みき 1992年、大分県生まれ。2009年にSKE48第3期メンバーオーディションに合格。チームSリーダーも務め、17年に卒業。今年4月、乳がん手術を公表した。自撮り映像でつづる「#乳がんダイアリー 矢方美紀」(NHK名古屋放送局制作)が話題を呼んだ。

 お断り 「ホンネ外来」は休みました。

 

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