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医療

出産・加齢の尿漏れ、腰痛を防止 ペリネケア

仏発祥 専門外来で指導

 骨盤の底にあり、子宮やぼうこうといった臓器を支える骨盤底筋群。骨盤底筋群を含む骨盤底全体をフランス語で「ペリネ」と呼び、出産や加齢などによってダメージを受けると、尿漏れや腰痛などさまざまな不調を引き起こす。そんなトラブルを防ぐため、ペリネを保護する取り組みが広がっている。フランス発祥の「ガスケアプローチ」で、専門外来を設ける産婦人科クリニックもある。(河野紀子)

ペリネケアを指導する瀬戸景子さん(右)=愛知県小牧市のみわレディースクリニックで

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 ペリネにある筋肉や靱帯(じんたい)は出産のほか、せきやくしゃみなどで過剰な腹圧がかかっても傷つき弱くなる。するとぼうこうなどの臓器や尿道が正常な位置から下がり、尿道が開きやすくなるため、女性の場合は少しの腹圧でも尿漏れが起こる。これが腹圧性尿失禁で、女性の尿漏れの五割を占めるという。男性の場合はおなかの中で腸が飛び出す脱腸などのトラブルが出る。

 愛知県小牧市のみわレディースクリニック(三輪貴彦院長)は六月、「女性のためのペリネケア外来」を開設。クリニックを訪ねると、理学療法士の瀬戸景子さん(40)が、出産後に不調を訴える女性たちに向き合っていた。本場のフランスで研修を受けた、国内で唯一のガスケアプローチ協会公認指導者だ。

 外来は、初診は六十分。症状や痛みが出る動作などを聞き取った後、ペリネ付近を触って体の硬さやペリネの状態を確認。負担のかからない姿勢と呼吸法を教える。「日常生活で気が付いたときに取り入れてほしい」と語りかけた。

 三カ月前に第一子を出産してから腰痛や残尿感に悩む同県犬山市の女性(36)は「呼吸や姿勢の大切さを教えてもらった。子育て中で忙しくてもできるので、毎日続けたい」と話した。

 外来は自由診療で、初診は四千五百円。二回目以降は四十分で三千円。

姿勢と呼吸法で腹圧改善

 三輪貴彦院長(55)によると、過剰な腹圧で傷ついた筋肉や靱帯は元には戻らないため、予防が大切だ。傷ついた後でも、腹圧がかかる生活を続けていると再発につながるため、再発予防の取り組みが必要という。

 予防で重要なのは、普段から背筋を伸ばした姿勢を保つこと。猫背になると、腹圧により臓器が下に向かって押し出され、ペリネを傷める原因となる。

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 例えば、椅子に座るときは背もたれに寄りかからない、落ちているものを拾うときは体をくの字にせず、膝を曲げて拾うなど。日常生活で姿勢を正すだけでペリネの保護につながる。

 呼吸は、ペリネを締めてから腹式呼吸で息を吐く。横隔膜の動きに合わせて、臓器と一緒にペリネも自然と動くので、ペリネへの負荷が少ないという。

 三輪院長によると、ペリネのケアは出産後の女性だけでなく、男性を含め誰もが取り組む必要がある。せきやくしゃみ、排便時のいきみなど、日常生活の多くの場面で過剰な腹圧がかかるからだ。

 二〇一四年に産婦人科医や理学療法士らが、日本ガスケアプローチ協会(東京)を設立。三輪院長と瀬戸さんもメンバーとなり、瀬戸さんは協会のスタジオで呼吸法などを教え普及に努めている。三輪院長は「まだ周知できているとは言えない。ペリネケアの重要性を伝えて、姿勢と呼吸法を取り入れる人が増えてほしい」と話した。

 

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